「コールセンターの仕事はきついんでしょうか」「研修についていけるか不安です」「もう辞めたい」。面接や現場でくり返し受けてきた質問です。
結論を先に言います。「きつい」と言われる理由の多くは事実ではなく誤解です。そして研修でつまずく理由も「辞めたい」と感じる理由も、実ははっきりしたパターンがあります。この記事では、現場で見てきた実態を正直にお伝えします。
1. 「きつい」と言われる3つの理由と現場のリアル
世の中で「コールセンターはきつい」と言われる理由を整理すると、だいたい次の3つに集約されます。
- クレーム対応が辛そう
- ノルマに追われそう
- PC操作についていけなさそう
数百名を現場に送り出してきた経験から言えるのは、この3つのうち本当に「きつい」と言えるのは半分くらいということです。残り半分はイメージや誤解によるものです。
クレーム対応は想像するほど多くない
コールセンターには大きく分けて、お客様にこちらから電話をかける「発信業務(アウトバウンド)」と、お客様からの問い合わせを受ける「受信業務(インバウンド)」があります。
クレームが発生しやすいのは主に受信業務の一部です。しかも多くの場合、対応は専門チームか現場のスーパーバイザー(SV)が引き取ります。お客様に「上に変われ」と言われるまでは自分での対応になりますが、その後の代打もサポートに入るので安心感は違います。入社直後のスタッフがいきなり理不尽なクレームの矢面に立たされることは少ないです。変われと言われるまで上長対応をしないのには理由があり「なぜ勝手に変わった」「逃げた」とさらに炎上させてしまう恐れがあるためです。
発信業務はそもそもこちらから電話するので、お客様が怒っていきなり電話に出るケースはほぼゼロです。「興味ないです」「忙しいです」と断られることはあります。クレームよりも話を聞いてもらえないつらさはありますが、多くの人はだんだん「日常業務の一部」という感覚で慣れていきます。
ノルマは「目標」であって達成しないと怒られるものではない
「ノルマ」という言葉に強いアレルギー反応を示す方は多いですが、これも誤解されやすい部分です。
コールセンターに目標があるのは事実です。ただそれは飲食店の「今月の売上目標」と同じでチームで追いかける指標です。個人に割り振られることはあっても、個人を追い詰めるためのものではありません。
目標を達成できなくても「来月どうする?」という前向きな話し合いになるべきで、人格否定や怒鳴られる職場は少なくとも見てきた範囲では稀です。そういう職場があったとしたら会社側の問題であり、業界全体の話ではありません。とはいえ数字を追うこと自体は事実なので、そのプレッシャーはあります。
PC操作は思っているほど複雑ではない
「PCが苦手だから無理」と諦めてしまう方を多く見てきました。しかし現場で使うのはほぼマウス操作とプルダウン選択だけです。
コールセンター専用のシステム(CTI:コンピューターと電話を統合した管理システム)は使いますが、各社「誰でも使えるように」設計しているものが多く、操作もシンプルで直感的です。エクセルの複雑な関数やプログラミングのような業務はありません。
簡単なタイピングができれば十分で、それも不安な方は入社前に少し練習すれば間に合うレベルです。ただしお客様の会話を記録するような受電(インバウンド)業務になると、それなりのスキルが求められます。専門性の高い分野ではPCは必須です。
現場からの本音
「きつい」という言葉だけが一人歩きしています。実際の現場はもっと穏やかで、チームで支え合う場所であることが多いです。
2. 本当につらいと感じる人の特徴
すべての方にとって快適な仕事かと言えばそうではありません。「やっぱり合わなかった」と早期離職される方も一定数います。
多くの方を見送ってきた経験から分かったのは、「きつい」と感じて辞めていく方にはいくつか共通点があるということです。仕事そのものの問題ではなく、その方の「仕事への向き合い方」に関わる話です。
① 受け身で指示待ちの姿勢が強い方
コールセンターの仕事はマニュアルやトーク台本(スクリプト)に沿って進みます。ただそれに100%依存すると応用が効かなくなります。
お客様は一人ひとり違います。台本通りに話しても伝わらないこともあれば、予想外の質問が飛んでくることもある。そんな時「台本に書いてないから分かりません」で止まってしまう方は、早い段階でしんどくなります。
逆に「分からないので確認させてください」と素直に言える方はどんどん伸びていきます。この姿勢の違いが数ヶ月後に大きな差を生みます。
② 「年下の指示は受けたくない」というプライド
これはシニアの方に特有の課題です。コールセンターではスーパーバイザー(SV)が20代・30代というケースも珍しくありません。
「自分の子供より若い人に指導される」ことに抵抗を感じる方がいます。表向きは「はい、分かりました」と答えていても内心で納得していない。その小さな抵抗が半年、一年経つとじわじわ仕事のしづらさに変わっていきます。男性のシニアスタッフが20代のSVへ反発して問題を起こす場面を何度も見てきました。誰も幸せになりません。
一方、年齢を忘れて「教えてくれる人」として素直に受け入れられる方は驚くほどスムーズに現場に馴染みます。年下のSVも「この方は素直で助かる」と感じて自然と応援してくれる関係ができていきます。
③ 過去の経験や肩書きにしがみつく方
「前職ではこうだった」「私のやり方はこうだ」——そう言いたくなる気持ちは人生の経験が豊富だからこそです。ただ新しい職場ではそれが逆に足かせになります。
こんな発言をしてしまう方は要注意
「前職の〇〇では、こういうやり方が一般的でした」「私は管理職だったので、こういうタスクは本来…」
こうした発言は無意識に口から出てしまうものです。聞いている側からすると「この方は新しい環境に適応する気がないのかも」という印象になります。面接の時点でこの兆候が出ている方は、残念ながら採用を見送ることが多いです。それくらい「過去を手放せるか」はコールセンターに限らず、シニア再就職の大きな分かれ道です。
3. 「続く人」に共通する5つの特徴
ここからは長く続けている方々に共通する特徴を5つに絞ってお伝えします。これは一人の観察ではなく、現場のスーパーバイザー(SV)も同じ意見を持っている傾向です。採用担当と現場担当、両方の目で確認された事実です。
① 挨拶と謙虚さが自然にある
「ありがとうございます」「教えてください」「失礼しました」。この3つの言葉が自然に出る方は例外なく長く続きます。
小さなことに見えますが、朝の「おはようございます」が明るい方と無言で席に着く方では周囲の接し方が全然違います。結果として困った時に助けてもらえる頻度も変わってきます。
② 「ちょっと抜けてる」くらいがちょうどいい
完璧主義の方より「自分はまだ分からないことが多いので」と少し謙遜しながら笑える方の方が圧倒的に現場で愛されます。
「完璧じゃないと気が済まない」タイプの方ほど自分を追い詰めて続かないケースが多いです。肩の力が抜けていて「失敗したらごめんなさい、教えてね」と言える方は周りが自然にサポートする雰囲気を作ります。
③ お客様に「熱」を伝えられる
コールセンターの仕事は結局「人に何かを伝える」仕事です。商品を紹介する時も問い合わせに答える時も、相手に「この人の話を聞いてよかった」と思ってもらえるかが勝負です。
その「熱」を持てる方は経験ゼロからでも半年でトップクラスになります。逆にどれだけスキルがあっても声に熱がない人は伸びません。熱とは大げさに感情を込めることではなく「この商品、本当にいいんですよ」「お客様の悩み、私もよく分かります」と心から言える姿勢のことです。
④ 目標に前向きに取り組める
面接で「目標がある仕事」と聞いた瞬間に顔が曇る方はたいてい続きません。目標がストレスになってしまうからです。
一方「目標があった方が頑張れます」「数字が見えるとやる気が出ます」と言える方は楽しみながら働けます。目標を「追いかけるゲーム」と捉えられるかどうかの違いです。飲食店で「今日は100食売ろう」というのと同じ感覚で、目標と付き合える方は長く続きます。
⑤ 勤怠を「自分との約束」として守れる
最後に、これが一番大きいかもしれません。「遅刻しない」「休まない」「時間に正確」。当たり前のようで意外とできない方が多いのが現実です。
「この歳になったから少しくらい甘くしてもいいだろう」と無意識に考えてしまう方がいますが、現場では年齢は関係ありません。20代のスタッフも60代のスタッフも同じ時間に出社し同じ時間に退社します。勤怠をしっかり守る姿勢は周りからの信頼を積み上げます。この信頼こそが長く続ける土台になります。
続く人の5つの共通点
挨拶と謙虚さ、「ちょっと抜けてる」くらいの柔らかさ、お客様への熱、目標への前向きさ、そして勤怠を守る姿勢。この5つを兼ね備えた方は、年齢に関係なくどこの現場でも愛される存在になります。もっと詳しくコールセンターに向いてる人の特徴を知りたい方はコールセンターに向いてる人・向いてない人を解説した完全ガイドもあわせてご覧ください。
4. 「辞めたい」の本当の理由
「辞めたい」という話は数え切れないほど聞いてきました。深掘りしていくと、表に出てくる理由と「本当の理由」は違うことがほとんどです。その本当の理由を知ることが正しい判断をするための出発点になります。
最も多いのは「結果が出ない」
深掘りすると、辞める原因のほとんどは「実績が出ない」「結果が出せない」ことです。発信業務は営業という側面があり、数字が出ない時期は必ず訪れます。その時期に「向いていないのかも」「もう限界かも」という感情が生まれます。
強い断りが続くと自信を無くして退職——これが最も多く見てきたパターンです。「クレームが嫌で辞めた」という人も、話をよく聞くと「断りが続いてしんどくなってきたところにクレームが来て限界になった」という順番が多い。最初の原因は数字が出ないことにあります。
逆に言えば、最初の1件が取れた瞬間の顔を何人も見てきました。「自分にもできた」という経験がその後の踏ん張りの支えになります。その経験を持てないまま辞めてしまうのが最も残念なパターンです。
✓ 「数字が出ない時期」は誰にでもある
長く活躍しているスタッフの入社当初を振り返ると、最初から結果を出していた人は多くありません。最初の1〜2ヶ月で数字が出なくても、その後に伸びた人を何人も見てきました。今の「辞めたい」はその壁の手前にいるだけかもしれません。
人間関係とクレームは実態と印象がずれている
人間関係は退職理由の2番目に多い原因です。コールセンターは人が多い職場です。
クレームについては、発信業務は意外とクレームが少ないです。こちらのタイミングで電話をかけるので、クレームになる前に断られる、切られるという形が多い。受信業務は相手のタイミングで来るので、すでに怒っている状態のお客様もいます。
もう一つ現場で多いのが「同世代のシニア対応のしんどさ」です。電話越しに顔が見えない相手に対して強く出る方は一定数います。耳が遠くなっていて聞き返しが強く聞こえる、といった場合も。悪意があるわけではないのに精神的に消耗する——これはクレームとも違う種類のきつさです。クレームだけが原因で辞める方は思ったより多くありませんが、この「同世代対応の消耗」は積み重なると重く感じる人がいます。
モチベーションについての大きな誤解
「やる気が出たら頑張れるのに」——辞めたいと思っている時、多くの方がこう感じます。しかし伝えたいことがあります。
辞めたい時期は誰にでもあります。その時期を越えた人が長く続けている人です。10年選手として働いているスタッフに「なぜ続けられるのか」を聞くと「最初はきつかったけど、結果が出た時の達成感が忘れられない」という答えが多いです。
5. 辞める前に確認したい判断基準
「辞めるな」と言い続けるつもりはありません。辞めた方がいい場合も正直に伝えます。
勤怠が守れないほど体調・家庭事情が悪化した
決めたシフトを守れないくらい体調が悪化したり、家庭の事情が出てきた場合は辞めた方がいいです。組織は個人に寄り添うことはできても、個人のために変わることはできません。無理して続けることが体や家族への負担になるなら、それは辞めていいケースです。
「外に矢印が向いた」——他責になった
業務不満で外に矢印が向く(他責)状態になるなら、辞めた方がいい。自分にも他人にもいい影響が一つもありません。「なぜあの人は」「なぜこんなやり方をする」という気持ちが止まらなくなったら、そこで働き続けることはお互いにとってプラスになりません。自分を追い詰める「自責」ではなく「自分がどう変わるか」を考えられなくなった時が、辞めるサインです。
✓ 結論を急がないで
「相談せずに結論を急ぐこと」が最大の問題です。自分自身で抱え込んで成長の機会を逃している場合がかなりあります。現場の社員も気づけていないことがある。早めに相談してくれれば改善できることは多いです。相談してくれる人は「素直さがある人」と映ります。抱え込む人は、そのまま辞めていく——これは何年もの肌感覚として持っている確信です。
採用担当として、他では聞けない現実もお伝えします。一時的な感情で辞めた人は、後になって再雇用の面接を希望してくる人が思っている以上に多いのです。若年層だとまずありえませんが、シニア層は次に行くところの選択肢が限られてくるためです。
これは現場感覚だけの話ではありません。総務省「労働力調査」によると、65歳以上の就業者の76.9%が非正規雇用です。シニアの雇用の大半は有期・時給制であり、一度離職すると同条件の仕事を見つけることが難しい構造があります。
出典:総務省「労働力調査(2024年)」https://www.stat.go.jp/data/roudou/
今やめようと思っている本当の理由を突き詰めてから決断してほしい。一時的な感情なのか、体力的に本当に難しいのか。もし仕事を続けないと生活が苦しいけれど本当に辞めたいなら、次を探してから辞めることを強くお勧めします。若い頃より選択肢が少ないのは間違いありません。だからこそ慎重に考えて決断してほしいと思います。

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6. 研修についていけないと感じたら
「研修についていけない。自分には無理なのかもしれない」——研修期間中に感じて辞めていく方を何人も見てきました。そういう方に共通する詰まりポイントは、実はかなりはっきりしています。60代だからではなく、明確な原因があります。
一番多いのはパソコン操作のギャップ
面接では必ず「簡単なPC操作はできますか」と聞きます。そのうえで採用しますが、実際に研修に入ると「全くできない」というケースが出てきます。
多くのコールセンターでは専用の管理システム(CTI)を使っています。シンプルなマウス操作やプルダウンで対応できる場合も多いですが、2画面同時表示で通話しながらタイピングする環境もあります。特にインバウンド(受信業務)はパソコン操作が前提のうえに、業務として覚えることが多い。専門知識の習得に集中したいのに「仕事道具の使い方そのもの」でつまずくと、両方の壁が同時にのしかかってきます。
インバウンド研修の「覚える量」が想定外に多い
ここがポイント
「コールセンターの研修」とひとくくりにしがちですが、受信(インバウンド)と発信(アウトバウンド)では研修の難しさが根本的に違います。研修でつまずく60代の多くは、インバウンドを選んだことが原因の一つになっています。
インバウンドは10人のお客様がかけてきたら10通りの問い合わせが来ます。それぞれに正しい答えを自信を持って返さなければならず、覚えることの量が圧倒的に多い。覚えることにおいては、若い世代が有利です——これは現場での実感です。
一方のアウトバウンドは1つのキャンペーンや商品・サービスを案内する仕事です。こちらから電話するので会話の「型」があります。断られたときの切り返し方も、ヒアリングの進め方もある程度決まっています。
「研修についていけない」と感じている方は、まずこの違いを確認してください。インバウンドからアウトバウンドに変えるだけで、研修の壁が大きく下がることがあります。詳しくはパソコンできない60代がコールセンターに採用されるかでも解説しています。
「今の会社の研修が合わない」と感じたら選択肢を広げる
研修についていけない原因が「自分の力不足」ではなく「この会社の研修スタイルが自分に合っていない」というケースもあります。座学中心の研修が苦手な方が実践型の職場に移ったら、すんなり覚えられたというケースは実際にあります。今の職場の研修に限界を感じているなら「この仕事が自分に合わない」と決めつける前に「この会社の研修スタイルが合わないだけかもしれない」という視点を持ってみてください。
7. 研修を乗り越える人の共通点
「わかったふり」が研修崩壊の引き金になる
60代の方に特有のパターンとして、研修でわからないことがあっても「わかりました」と言ってその場を乗り越えようとするケースがあります。長いキャリアの中で「わからない」と言いにくい習慣が身についている方や「自分には経験があるから」という自負が邪魔をしてしまう場合です。
その場でわかったふり→あとで発覚するパターン
「自分は経験者だから」という意識からちゃんと話を聞かず、わかったふりをして進める。このパターンが一番危険です。わからないことをわからないまま進められるほど仕事はあまくありません。あとで必ずボロが出ます。
乗り越える人の共通点は「謙虚に繰り返す」だけ
研修で詰まりながらも乗り越えていった人たちには、共通する行動があります。難しいことでもなんでもありません。
研修を乗り越えた人がやっていたこと
- わからないことはその場で謙虚に何度も聞く
- メモを取る(メモが取れない人は詰まりやすい)
- 家に帰ってから復習する
- 翌日も同じことを繰り返し、体に覚えさせる
当たり前に聞こえますか?そうです、当たり前のことです。でも、これができない大人が意外に多い。「子供には『宿題しなさい』と言ってきたはずなのに、大人はそれができない」——結局はそこに行きつきます。ログインの操作を覚えられない方でも、毎日続けると体が覚えます。人よりも覚えるのが遅いと感じる方は反復の量で補うことができます。
60代が研修を乗り越えたエピソード
55歳で定年を迎えた元自衛官の方が、派遣経由でコールセンターに来たことがあります。営業経験もなく、お世辞にも会話が上手いとは言えませんでした。研修の最初からぶっきらぼうな話し方とパソコン操作の遅さが目立ち、周囲から見ても「続くのかな」と思われていたはずです。
でも、その方は毎日必ずメモを取り、わからないことは担当者にすぐ聞き、家に帰ってからも自分のメモを読み返していました。覚えるスピードは速くありませんでしたが、2ヶ月後には目標の数字を達成するところまで来ていました。その後、より条件の良い職場に移っていきましたが、コールセンターでの経験が次のキャリアの土台になりました。
ここがポイント
研修中に「もうついていけないかも」と感じた方が乗り越えられたケースに共通しているのは、「諦めなかった」ということ以上に「謙虚に聞き続けて、家でも復習した」という具体的な行動でした。特別な才能は必要ありません。
研修担当者は「敵」ではない
研修担当者の多くは「この人に続けてほしい」と思っています。わからないと言われれば丁寧に教える準備があり、困っていることを打ち明けてもらえれば対応策を一緒に考えることができます。「評価する人」「怖い人」と思って距離を置くと、困っていることが伝わらないまま時間が過ぎていきます。
8. 「未経験でもできる」は本当か
求人広告でよく見る「未経験歓迎」「60代活躍中」。これが本当なのか疑問に思う方も多いと思います。結論から言うと本当です。ただし誰でもいいわけではありません。
実は「未経験の方の方が経験者より伸びる」というケースは珍しくありません。理由はシンプルで、未経験の方は素直にマニュアルを吸収するからです。経験者は「前の職場ではこうだった」という固定観念があり、それが新しい会社のやり方と衝突することがあります。コールセンターは会社ごとに商品もトーク台本も違うので、過去の経験が必ずしもプラスに働きません。
一方、未経験の方は「教わったことをそのまま吸収する」姿勢があるので会社のやり方に最短でフィットします。まっさらな状態からスタートした方が1年で年間MVPを獲得したこともあります。
総務省「労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は930万人(2024年)で21年連続増加。60〜64歳の就業率は74.3%に達しており「シニアが働けない」という前提自体がすでに崩れています。
出典:総務省「労働力調査(2024年)」https://www.stat.go.jp/data/roudou/ / 内閣府「令和7年版高齢社会白書」https://www8.cao.go.jp/kourei/
未経験であることを不安に感じる必要はまったくありません。60代・未経験でもコールセンターで活躍できる理由は、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
9. 入社前にできるたった1つの準備
「何か準備しておいた方がいいことはありますか?」という質問もよくいただきます。正直に言うと、特別な準備は要りません。ただ1つだけやっておくと心が軽くなることがあります。
PCに毎日5分、触れておく
現場で使うのはマウスクリックと簡単な文字入力だけです。ただ「PCの画面を見て慌てない」という感覚だけは事前に作っておくと楽です。毎日5分、ネットで好きな記事を読む、メールを打ってみる、これだけで十分です。入社後に「あれ、これ見たことある」と思える瞬間が自信につながります。
入社前にやっておくと効果的な準備
- マウス操作・基本的なタイピングの練習(毎日少しずつでOK)
- 応募先の会社のホームページを読んでおく
- 取り扱う商品・サービスについて調べておく(通販なら定期便とは何か、など)
- 研修で「わからなかったらすぐ聞く」と心に決めておく
家電量販店や図書館・地域のパソコン教室でPCに触れる機会を増やしている方もいます。お金をかけなくてもできることはたくさんあります。通販のアウトバウンド業務なら、定期便とはどういうサービスか、どんな商品が人気なのか——こういったことを事前に調べておくだけで研修のスタートダッシュが変わります。「後悔するのは、アドバイスを聞かない人、実行しない人、謙虚じゃない人」というのが現場で見てきた結論です。
10. 「きつい」を超えて「居場所」に変える考え方
最後に、一番お伝えしたいことを書きます。コールセンターの仕事は単に「お金を稼ぐ場所」ではありません。社会とのつながりを感じられる場所であり、自分の存在価値を確認できる場所でもあります。
お客様から「ありがとうございます」と言われた時、チームのメンバーから「助かりました」と言われた時——そこで初めて「この歳になっても、自分は誰かの役に立てる」と実感できます。
内閣府「令和7年版高齢社会白書」でも、就労を継続しているシニアほど生活満足度・健康感が高い傾向が確認されています。働くことは収入だけでなく、社会参加・役割感という形で心身の健康を支えています。
出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書」第1章 高齢化の状況https://www8.cao.go.jp/kourei/
長く続けている方は、例外なく「ここが自分の居場所」と感じている方です。そういう方にとってコールセンターは「きつい」場所ではなく、むしろ毎日会いたい仲間がいる場所になっています。会社は家庭以外のもう一つの居場所です。家にいるだけでは得られない刺激、会話、承認。それを受け取れる場所が身近にあるということを、ぜひ知っておいてほしいと思います。
応募する前に、自分で確認しておきたいこと
- 「完璧じゃなくていい」と自分に許せているか
- 「教えてください」と素直に言えるか
- 年下のスーパーバイザー(SV)でも、素直に指導を受けられるか
- 過去の経験や肩書きを、いったん横に置けるか
- 勤怠(遅刻・欠勤)を自分との約束として守れるか
- PCに毎日5分でも触れる習慣があるか
この6つにすべて「はい」と答えられる方なら、コールセンターはあなたにとって居場所になる可能性が高いと思います。
◯ コールセンターに向いてるか知りたい方へ
自分がコールセンターに向いてる人かどうか、30秒で診断できます。志望動機・面接・業務タイプの選び方・よくある不安まで、採用担当が一次情報で網羅した完全ガイドです。
コールセンターに向いてる人か診断できる完全ガイドを読む →
◎ この記事のまとめ
- 「きつい」と言われる理由の多くは誤解やイメージによるもの。本当に続かない方には仕事そのものではなく姿勢の問題がある
- 続く方は挨拶・謙虚さ・熱・前向きさ・勤怠の5つを持っている
- 「辞めたい」の本当の理由はクレームより「結果が出ない」が最多。介護・体調・家庭事情なら辞めていい。感情的な理由ならまず立ち止まって相談を
- 「外に矢印が向いた(他責になった)」「勤怠が守れないほど体調が悪化した」——この2つが辞めていいと思う明確な判断基準
- 研修でつまずく原因は「60代だから」ではなく「インバウンドを選んだこと」と「わかったふり」がほとんど。インバウンドからアウトバウンドに変えるだけで壁が大きく下がるケースも多い
- 研修を乗り越えた人の共通点は、謙虚に聞き・メモを取り・家で復習するという当たり前の積み重ね
- 未経験でも、むしろ伸びやすい傾向がある。辞めると決めたなら「次を探してから辞める」ことを強く勧める

「自分に合う職場」から声がかかる、という選択肢
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よくある質問
体力的についていけるか不安です。
コールセンターは基本的にオフィスワークで、1日中座って仕事ができます。立ち仕事や重い荷物を扱う業務はありません。体力に不安がある方ほど、むしろ向いている仕事です。
PCがほとんど使えません。本当に大丈夫ですか?
マウス操作とプルダウン選択ができれば、最初の数週間は十分に乗り切れます。入社前に毎日5分ほどPCに触れる習慣をつけておくとより安心です。心配な方は応募時に正直に「PCは苦手です」と伝えるのも一つの手です。誠実さはむしろ評価されます。
クレームがつらくて辞めたいのですが、これは仕方ない理由ですか?
クレームのつらさは仕方ない理由に近いです。ただし受電業務(インバウンド)より発信業務(アウトバウンド)の方がクレームは少ない傾向があります。「クレームが多い業務だから辞めたい」なら、まず発信業務へ移れないか相談してみることをお勧めします。業務変更で解決できる場合もあります。
人間関係が原因で辞めたいのですが、次の職場でも同じことが起きますか?
「外に矢印が向いている(他責の状態)」のまま転職すると、同じことが起きやすいです。逆に「自分がどう変わるか」を考えられる状態で転職すれば、次の職場ではうまくいく可能性が高い。今の職場で「自分はどう変われるか」を試してから判断することをお勧めします。
数字が出なくてつらい。これは向いていないということですか?
向いていないとは限りません。最初から結果を出す人は少数派です。大切なのは「数字が出ない理由」を自分だけで抱えないこと。トークの型・タイミング・商材との相性など、改善できる要素は必ずあります。まず上司や先輩に相談してみてください。相談できる人ほど、後から伸びる傾向があります。
途中で辞めた方がいいと思ったら、どうすればいいですか?
まず1ヶ月は続けてみることをお勧めします。最初の2〜3週間が一番しんどく、そこを超えると急に楽になる方が多いです。それでも本当に合わないと感じたら、正直にスーパーバイザー(SV)に相談してください。辞めると決めたなら「次を探してから辞める」方が確実です。在職中の方が採用されやすく、交渉力もあります。
60代がコールセンターの研修についていけない一番の原因は何ですか?
最も多いのはパソコン操作のギャップです。基本操作が不十分なまま入社すると、業務内容と操作の「二重の壁」が同時にのしかかってきます。また、インバウンド(受信業務)を選んだことも原因のひとつです。インバウンドは覚える量が圧倒的に多く、若い世代が有利な業務です。
インバウンドとアウトバウンドでは研修の難しさはどう違いますか?
インバウンド(受信)は10通りの問い合わせに10通りの正しい答えが必要で覚える量が圧倒的に多く、60代には難易度が高いです。アウトバウンド(発信)は1つの商品・サービスを案内する業務で会話の「型」があります。研修の壁が低く、60代・未経験者に向いています。
研修中にわからないことがあったとき、どう対処すればいいですか?
その場で謙虚に何度でも聞くことが最善です。「わかったふり」をしてその場を乗り越えようとすると、後から必ず問題が出てきます。「わかりません、もう一度教えてください」と言える人が最も安心できます。
年齢で不利になることはありますか?
コールセンターの採用現場では、年齢より「姿勢」を見ています。60代でも70代でも、素直さと勤怠の確かさがあれば採用される可能性は十分にあります。実際、70代半ばでも現役で活躍されている方はたくさんいます。
次の一歩は、どちらが合いそうですか?
採用担当として、タイプ別にこう勧めています
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