福岡県にお住まいのタカシさん(仮名・72歳)は、66歳のときに発信のコールセンターで働きはじめ、いまも週4日・1日8時間のペースで6年目を続けています。仕事は、買取サービスのご案内のアポイントを取る発信の電話。後日、営業の担当者が改めて伺う流れの部署です。
介護や営業を経て「この年齢で内勤の仕事は少ない」と探し回った末にたどり着いた仕事。面接で聞かれた「年下の上司」と「メンタル」の質問、電話を切られ続ける不調な時期のつらさ、そして70代の多くの方が気にする「何歳まで働けるのか」まで。ご本人の言葉と、採用する側から見た解説をあわせてお届けします。
※この記事は、当サイト「実体験ラボ」の対面インタビュー(2026年7月・福岡県内にて実施)をもとに、ご本人の掲載同意を得て構成しています。お名前は仮名、勤務先が特定される情報は伏せ、写真はプライバシー保護のため加工しています。
なぜ72歳で「発信のコールセンター」を選んだのか
VOICE
定年後の1年くらいは、のんびりさせてもらいました。ただ、家にいるのも段々と暇になりましてね。妻と一緒にいると小言も増えるので、これは仕事を探そうと。
もともとは介護の仕事から、医療器具の営業へと移ってきた経歴です。介護は体力的にもう厳しい。営業で外回りをしていた頃に足を痛めていたので、警備の立ち仕事もきつい。知人の飲食店に誘われましたが、それもお断りしました。
それで内勤の仕事をと思ったのですが、この年齢だと本当に選択肢が少ないんです。あちこち探し回って、ようやくたどり着いたのが発信のコールセンターでした。応募は求人アプリからです。
面接で聞かれた「年下の上司」と「メンタル」の質問
VOICE
面接では、パソコンの簡単な操作ができるか、体調のこと(持病はなく問題ありませんでした)、それとこれまでの仕事の話を聞かれました。
印象に残っているのは2つです。ひとつは「発信のコールセンターは営業と同じで、電話を切られることも多い。メンタル的に大丈夫ですか」という質問。私は「問題ありません」とはっきり即答しました。
もうひとつは「娘さんくらいの若い年下の社員がいますが、その人の指示や指導を素直に受け入れられますか」という質問です。これも問題ないと答えました。後で理由を聞いたら、「男性はプライドで自分の意思を優先したり反論したりする人がいる。そういう人に限って結果が出ないし、相手によって態度を変えることも多い」と。なるほどと納得しましたね。
採用担当より
この2つは、私も70代の男性を面接するときはほぼ確認します。「電話を切られてもへこたれないか」と「年下から指導されて素直に聞けるか」。意地悪で聞いているのではありません。ここでつまずくと本人が一番つらくなるからです。タカシさんの「問題ありません」という即答は、採用する側からすると大きな安心材料でした。面接で見られているポイントは面接で受かる人・落ちる人の違いで詳しく解説しています。
6年続けて感じた「よかったこと」
VOICE
まず体力の負担が少ないのが助かります。おかげで孫にお小遣いやプレゼントを用意してやれる。物価も上がっていますから、なんだかんだで収入があるのはありがたいです。
それと、これは強く感じることなのですが、仕事をしていない同年代の友人が、急に老け込んでいくんですよ。一方で、資産があって外と関わりながら過ごしている友人は若々しい。外の人と関わり続けると、人は若くいられるんだと思います。仕事があること自体に感謝しています。
1日の流れですか。週4日勤務で、平日に1日休みを取り、その日に通院しています(2年前から血圧の薬をもらっています)。夜は21時ごろ帰って食事、そのあと犬の散歩が日課です。休みの日は5歳年下の妻とウォーキング。河川敷を犬と歩きます。座りっぱなしの仕事なので、意識して体を動かすようにしています。
採用担当より
長く続く方が口をそろえて言うのが、この「収入」「社会とのつながり」「生活リズム」の3つです。とくにタカシさんの「働かない友人が老け込む」という実感は、採用の現場でも本当によく聞きます。お金のためだけでなく、外に出る理由があること自体が体にいい。ここが定年後の仕事の隠れた価値だと思います。体力の負担が軽い仕事でも、長く続くかどうかは体力以外の要素で決まります。詳しくは70歳まで続く仕事の選び方で解説しています。
きついのは業務そのものより「不調な時期」だった
VOICE
覚えることや業務のやり方そのものは、そんなに苦労しませんでした。パソコンは前の仕事で使っていたので問題なし。きついのは、実績が出ない不調な時期ですね。
電話を切られ続けるのは、慣れているつもりでもやっぱり堪えます。社員や同僚に相談しながら、不調と好調を繰り返している感じです。
あとは、これは規模が大きい職場だと仕方ないのかもしれませんが、スタッフの中に派閥やグループができるのは好きではありません。私に直接の被害があるわけではないんです。ただ、陰口や「あの人はひいきされている」といった妬みや嫉妬を見ているのは、気持ちのいいものではない。だから、なるべく関わらないようにしています。
採用担当より
この話は的を射ています。発信のコールセンターで本当にきついのは、業務の難しさより「メンタルの波」と「人間関係」なんです。長く続く方は、タカシさんのように不調のときに周りへ相談でき、合わない人間関係とは距離を取るのが上手い。逆に、断られるたびに自分を責めてしまう方はつらくなりやすい。続く人・辞める人の違いは続く人の特徴をまとめた記事で整理しています。
72歳のいま、何歳まで働くか
タカシさんが語った就労の見通し。まずは定年後10年の節目である75歳を目標に置いている。
VOICE
何歳まで働きたいか。できれば働けるまで働きたいですね。少なくとも、定年後10年の節目である75歳までは続けたい。そこまでいけたら、勤務時間を減らすなど、また考えようと思っています。
契約の更新については、会社から「最後まで一緒に頑張りましょう」と言っていただいています。友人は駐輪場の管理をしているのですが、そこには85歳の年長者もいるらしいんです。働かせてもらえること自体が、本当にありがたいことだと思います。
採用担当より
70代の方から一番多く寄せられる不安が、まさにこれです。「何歳まで雇ってもらえるのか」。採用する側の本音を言えば、見ているのは年齢そのものより、健康・素直さ・安定した勤怠の3つです。ここが保てている限り、会社側から辞めてほしいと言うことはまずありません。年齢と働き続けられるかの関係はコールセンターの定年は何歳まで?でも具体的に触れています。
まとめ|「コールセンターがいい」のではなく「働くこと自体がいい」
タカシさんの6年から見えてきたこと
- 体力仕事も年齢制限もある中で、座ってできて年齢不問のコールセンターが受け皿になった
- 面接の山場は「メンタル耐性」と「年下上司への素直さ」。ここを即答できたことが採用につながった
- きついのは業務より不調な時期。相談できる相手と、合わない人間関係から距離を取る姿勢が続くコツ
- まずは75歳を目標に。健康・素直さ・安定した勤怠があれば、年齢だけで区切られることは少ない
タカシさんは最後にこう話してくれました。「70代になると、同年代でも若々しい人と老け込む人にきっぱり分かれる気がする。コールセンターがいいのではなく、働くこと自体がいいんです。強制的に人と関わるから健康にもいい。若い人にぶら下がらず、年長者として一緒に頑張っていきましょう」。定年後の仕事全体の選び方は定年後の仕事ガイドでまとめています。
よくある質問
70代・未経験でも発信のコールセンターは採用されますか?
採用されている方は実際にいます。タカシさんも66歳から未経験で始め、いまも6年目を続けています。年齢よりも、電話を切られても落ち込みすぎないこと、年下の指導を素直に受け止められること、安定して出勤できることが重視されます。
年下の上司から指示されることに抵抗はありませんか?
ここは面接でもよく確認されるポイントです。プライドが先に立って反論しがちな方より、素直に受け止められる方のほうが結果も出やすく、長く続く傾向があります。タカシさんも「問題ない」と即答したことが採用につながりました。
電話を切られ続けるのは、やはりきついですか?
慣れていても堪える、というのがタカシさんの実感です。ただ、業務の難しさよりも「実績が出ない不調な時期」のメンタルの波がきつさの正体です。周りに相談しながら不調と好調を繰り返す、という付き合い方をしている方が続いています。
コールセンターは何歳まで働けますか?
明確な上限はなく、健康・素直さ・安定した勤怠が保てているかで決まる面が大きいです。タカシさんはまず75歳を目標に置き、会社からも継続を望まれています。知人の職場には85歳で働く方もいるとのことでした。
実体験ラボでは、50代以上の方の仕事体験談を募集しています。お話を聞かせてくださる方はお問い合わせフォームからご連絡ください。掲載の範囲やお名前の扱いは体験談の掲載に関する規約をご覧いただけます。
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採用担当より
タカシさんのように「体力仕事は難しい、でも内勤は年齢で断られる」という壁にぶつかって、最後にコールセンターへ行き着く方はとても多いです。座ってできて、年齢不問の求人が多く、間口が広い。この職種がシニアの受け皿になっている理由がここにあります。仕事の全体像はコールセンターの完全ガイドにまとめています。