「派遣会社って実際どう使えばいいの」「ハローワークと派遣、どっちがいいの」「派遣って不安定じゃないの」。この記事は、シニアの仕事探しで避けて通れない“外部の力の使い方”に、採用担当としてまとめて答えるために書いています。
結論を先にお伝えします。派遣会社・ハローワーク・自治体のシニア就業支援は、どれか一つを選ぶものではなく、併用するものです。そして派遣そのものも、仕組みを正しく理解すればシニアにとって想像以上に有利に働きます。「一人で仕事探しをしない」ことが、シニアにとって最も成功率の高い方法だと、現場の採用担当として強く感じています。
この記事を読む前に
この記事には、時々「耳の痛い話」が出てきます。「ハローワークで高圧的な態度の方が一定数いる」「派遣会社の高単価案件で勘違いしてしまう方がいる」「スマホが使えないと言って手続きを諦める方がいる」。こういう話です。
これは攻撃ではなく、読者が同じ失敗をしないための事前情報です。読んで気分が悪くなったら、ブラウザを閉じてください。それも正しい判断です。でも「確かにそうかもしれない」と少しでも思えたなら、ぜひ最後まで読んでみてください。仕事探しの景色が変わるはずです。
この記事でわかること
- 派遣の三角関係(給与・社保と業務指示が「別の場所」から来る理由)
- 直雇用 vs 派遣、シニアにとって本当に向いているのはどちら
- シニアが派遣を使うメリットと、60歳以上の3つの法的優遇
- 派遣会社・ハローワーク・自治体支援の違いと使い分け
- 良いコーディネーター・悪いコーディネーターの見抜き方
- 企業から見た「派遣スタッフの扱われ方」と、長続きする人の条件
- シニアの仕事探しは「一人でやらない」が正解
- 派遣・ハローワーク・自治体支援|3つの違いと使い分け
- 元自衛官・55歳のシニアが派遣でコールセンターに辿り着いた話
- 派遣の仕組みをわかりやすく解説|雇用元・雇用先・あなたの三角関係
- 派遣会社がシニアに向いている本当の理由
- コーディネーターとは何か|営業との違いと、悪いコーディネーターの見抜き方
- 企業から見た「派遣スタッフ」の実態|採用担当が正直に話す
- 派遣登録すると採用担当に何が伝わるか|知られていない情報共有の実態
- 派遣を使いこなせない人|「見栄」が全てを壊す
- 派遣で「破格の条件」に出会ったときの落とし穴
- 採用担当が見た「長続きするシニア・早く辞めるシニア」
- 派遣でできる仕事・できない仕事
- 登録前に自分で整理しておく条件リスト
- 派遣会社の選び方|2〜3社登録してコーディネーターで選ぶ
- ハローワークの使い方|シニア専用窓口がある
- ハローワーク利用で気をつけること|「お客様意識」が損する
- 自治体のシニア就業支援を使え
- 「派遣=正社員になれなかった人」という偏見への回答
- 派遣の「不安定」は、シニアにとってむしろ「安定」
- よくある質問
シニアの仕事探しは「一人でやらない」が正解
採用担当として何百人ものシニアの方々と向き合ってきて、強く感じることがあります。一人で求人サイトを眺めて応募し続けている方ほど、結果が出るのに時間がかかる傾向があります。
逆に、派遣会社・ハローワーク・自治体のシニア就業支援を組み合わせて使っている方は、仕事が決まるのが早いし、決まった後の定着率も高い。これは偶然ではなく、構造的な理由があります。
この記事を書いている私自身、採用担当として派遣会社と深く関わってきました。事業拡大の採用ミッションを受けたとき、ゼロから1社の派遣会社と組んで、月の取引額が1,000万円に迫るところまで一緒に成長させた経験があります。今も3社の派遣会社と取引していますが、その中でも特に深く組んだ1社のコーディネーターとは、毎日のように電話で話し、定着支援も動員調整も二人三脚でやってきました。派遣会社が「内側から」どう動いているかを知っている立場から、求職者の方々に向けて本当のことだけを書きます。
派遣・ハローワーク・自治体支援|3つの違いと使い分け
具体的な使い分けに入る前に、3つの選択肢の違いを整理します。それぞれ役割と得意領域が違うため、自分の状況に応じて組み合わせて使うのが正解です。
FIG.1 / 3つの選択肢は競合ではなく補完関係。状況に応じて2〜3を併用するのが最も効率的
この3つは、どれか1つを選ぶものではありません。たとえば「派遣会社のコーディネーターに相談しながら、ハローワークでも求人を探し、自治体の就職支援講習で新しいスキルを身につける」というように、組み合わせて使うのが最も効率的です。それぞれ無料で利用できますし、複数使うことのデメリットは基本的にありません。
元自衛官・55歳のシニアが派遣でコールセンターに辿り着いた話
具体的なエピソードを一つお伝えします。これは、派遣会社が「自分一人ではなかなか辿り着けない仕事」に繋いでくれた典型例です。
55歳で定年を迎えた元自衛官の方が、派遣会社経由で当時の私のコールセンターにやってきました。自衛官は職位がないと定年が早く、55歳という微妙な年齢で、その後行くところに困る方が多い職種です。実際、自衛官のための就職支援事業も存在するくらい、退職後のキャリア構築は社会課題になっています。
その方は、営業経験はなく、お世辞にも会話が上手いとは言えませんでした。コールセンターという、最も電話対応スキルが求められる現場に配属されたわけですから、最初は本人も周囲も不安でした。でも、めちゃくちゃ真面目な方で、指導を一生懸命に聞く姿勢があった。それが武器になりました。
その方は2年近くコールセンターで勤務し、その後、収入面の事情で別のコールセンターに転職していきました。これは「定着しなかった」のではなく、「コールセンター経験を武器に、より条件の良い職場へステップアップできた」ということです。最初の職場で得た経験がなければ、次の転職は実現していません。
ここがポイント
この方が一人で求人サイトを見ていたら、おそらくコールセンターに辿り着いていません。「自分は会話が苦手だから無理」と思って候補から外していたはずです。派遣会社のコーディネーターが「真面目で指導を聞ける人なら、コールセンターは伸びる仕事です」と背中を押し、配属まで段取りしてくれたから、新しい職種への扉が開きました。派遣で1つ新しい職種の経験を積むメリットは、ここにあります。
派遣の仕組みをわかりやすく解説|雇用元・雇用先・あなたの三角関係
派遣がよくわからないまま登録している方は、思いのほか多いです。基本を正確に知っておくことが、後で損をしないための第一歩です。
FIG.2 / 派遣の三角関係。雇用契約(給与・社保)は派遣会社と。業務指示は派遣先企業から。
図のとおり、派遣には必ず3者が登場します。派遣会社(雇用元)・企業(雇用先)・あなた(派遣労働者)です。ポイントは2つ。①給与・社会保険の支払いは「派遣会社」から、②仕事の指示は「企業(派遣先)」からという分離です。ここを理解していないと、「何かあったときに誰に相談すればいいかわからない」という状況になります。答えは明確で、給与・勤怠・保険の話は派遣会社へ、仕事の内容・スケジュールの話は派遣先企業へ、です。
直雇用と派遣、どちらを選ぶか
採用担当として正直に言います。長期で安定した雇用を求めるなら、直雇用をすすめます。急に仕事がなくなるリスクも派遣に比べると少なく、雇用は安定します。一方で派遣にも独自の強みがあります。特に「次を探してくれる人がいる」という構造は、シニアにとって想像以上に価値があります。
FIG.3 / 直雇用と派遣の比較。どちらが向いているかは目的によって変わります。
派遣会社がシニアに向いている本当の理由
派遣会社の仕組みを正しく理解している方は、実は多くありません。「派遣=不安定」という古いイメージで敬遠してしまう方もいます。でも、シニアにとって派遣会社の仕組みは、かなり有利に働きます。
「自分に合う働き方を見つける」のが派遣の本質
多くの求人媒体は「採用されやすい職種を探す」ことに特化しています。一方、派遣会社のコーディネーターは「あなたに合う働き方を一緒に見つける」のが仕事です。たとえば「コールセンターは無理」と決めつけていた方が、面談で「人と話すこと自体は嫌いじゃない」「クレーム対応は無理だが説明業務ならできる」という適性が見えてきて、結果的にコールセンターに配属されて続いている、というケースはよくあります。一人で求人サイトを眺めていても、こういう発見はできません。
派遣会社のビジネスモデルを知ると使い方が変わる
派遣会社は、派遣スタッフが派遣先で「働き続ける」ことで収益を得るビジネスです。つまり、すぐ辞めてしまう人を派遣することは、派遣会社にとっても損になります。だからこそ、派遣会社は登録者の希望・経歴・性格を丁寧に聞き取り、長く続けられそうな職場を提案します。「派遣会社と利害が一致している」という構造を理解すれば、「自分の本音を伝えること」が結果的に自分のためになる、という論理が見えてきます。
同一労働同一賃金で「派遣だから安い」はもう通用しない
2020年4月から施行された改正派遣法により、派遣労働者の同一労働同一賃金が義務化されました。これは派遣先の正社員と派遣社員の間に不合理な待遇差を設けてはいけないというルールで、派遣元において一定の要件を満たす労使協定による「労使協定方式」と、派遣先の通常労働者との均等・均衡を図る「派遣先均等・均衡方式」のいずれかが義務付けられています。
この法律により、「派遣だから給料が安い」という従来のイメージは大きく変わりました。むしろ労使協定方式では、同種の業務に同一地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上になるよう決定するため、業界水準で見ると派遣の方が直雇用より時給が高いケースも珍しくありません。直雇用の最低賃金スレスレの職場より、業界水準を反映した派遣の方が稼げる、という現象が実際に起きています。
シニア登録が増えている背景
近年、派遣会社にシニアが登録するケースが急増しています。背景は2つ。一つは、厚生労働省の令和4年派遣労働者実態調査によると60歳以上の派遣労働者の割合は全体の10.5%にあたり、高齢化は確実に進んでいること。もう一つは、若い世代がスポットワーク(隙間バイト)に流れているため、派遣会社にとってシニアが大事な労働力になっていることです。この市場構造の変化により、派遣会社の側も「シニアに長く働いてもらう」ためのサポート体制を整えるようになっています。
次を探してくれる人がいる|第三者に相談できる|無期雇用の道
派遣の実務的なメリットを3つ補足します。1つ目は次を探してくれる人がいること。直雇用の有期契約だと契約満了のたびに自分で仕事を探しますが、派遣なら派遣会社が次を探してくれます。2つ目は第三者に相談できること。職場のハラスメントや人間関係のトラブルを、派遣会社のコーディネーターという社外の第三者に相談できます。3つ目は長期在籍で無期雇用への転換が可能になる場合があること。「派遣は不安定」というイメージを覆す制度として知っておく価値があります。
シニアに有利な3つの法的メリット
派遣にはシニアに特化して有利になる3つの法的メリットがあります。知らないと損をするポイントなので整理しておきます。
FIG.4 / 派遣法でシニアに特別に認められた仕組み。知っているかどうかで選択肢が大きく変わる
特に重要なのが2番目の3年ルールの例外です。3年が経過した時点で年齢が60歳以上の派遣労働者については、3年ルールは適用されません。高齢の労働者は雇用継続の必要性が特に高いため、例外として認められています。「次の派遣先を3年ごとに探さないといけない」という不安からシニアを解放する、極めて大きなメリットです。3つ目の日雇い派遣の例外も活用範囲が広く、「フルタイムは厳しいが、週に1〜2日だけ働きたい」というニーズに合法的に応えられる仕組みです。
コーディネーターとは何か|営業との違いと、悪いコーディネーターの見抜き方
派遣会社を上手に使えるかどうかは、ほぼ「どのコーディネーターに当たるか」で決まります。ここを理解せずに登録すると、自分に合わない仕事を紹介され続けて消耗します。
コーディネーターの定義と、営業との違い
コーディネーターとは、派遣会社の中で求職者と派遣先のマッチングを担当する人のことです。営業のように案件獲得が目的ではなく、登録者一人ひとりの希望・経歴・働き方を聞き取り、合う職場に繋げるのが仕事です。営業は派遣先企業との契約獲得が主な仕事、コーディネーターは登録者と派遣先のマッチングが主な仕事。この役割分担を理解しておくと、誰と話しているのか、何を期待していいのかが見えてきます。
悪いコーディネーターの見抜き方
アサイン(配属)を優先するコーディネーターは要注意です。とにかく早く派遣先に送り込もうとして、登録者のライフスタイルや希望をろくに聞かない。こういう担当者に当たると、合わない職場に飛ばされて短期離職するか、苦痛を抱えながら働き続けることになります。逆に、あなたのライフスタイルや希望を親身に聞いてくれるコーディネーターは、仕事も長く続きますし、仮に任期満了になっても次の仕事をスムーズに見つけてくれます。「この人はこっちを向いているか、派遣先を向いているか」。会話していれば、たいてい伝わってきます。
良いコーディネーターの3つの特徴
① 仕事のキツイことも、楽しいことも、両方ちゃんと話してくれる
② 時間や場所などの希望条件を聞いた上で、可能性を広げる提案をしてくれる
③ アサインを焦らず、合う仕事が出るまで待ってくれる
いいことばかり言う担当者は、信用できません。これは派遣会社選びの最重要ルールです。
企業から見た「派遣スタッフ」の実態|採用担当が正直に話す
求職者が知らない視点として、企業側から派遣スタッフがどう見えているかがあります。これを知っておくと、派遣で働く際の立ち居振る舞いが変わります。
FIG.5 / 企業による違いは大きい。登録前に「どちらのタイプか」をコーディネーターに確認しておくとよい。
「育成しない」という企業側の論理と、三位一体の関係
短期・スポット型の会社では、派遣スタッフへの育成投資は基本的に行いません。直雇用ではないため育成コストをかけるメリットがなく、派遣会社への支払いコストは直雇用より高くなるため、「この人は業務に見合っているか」の見極めがシビアになるからです。逆に言えば、短期間で期待を上回る成果を出すか、人として「一緒に働きたい」と思わせることができれば、直接雇用への転籍という道も開けます。
派遣登録すると採用担当に何が伝わるか|知られていない情報共有の実態
求職者の多くは「履歴書と面接だけで判断される」と思っています。ですが実際には、採用担当とコーディネーターのあいだでさまざまな情報のやりとりがあります。派遣会社も採用企業も、独自に反社会的勢力との関与チェック(反社チェック)を行います。本人が隠していても判明することがあります。また、派遣会社は独自のネットワークを持っており、スタッフ同士のつながりや業界の情報網から、過去の職場でのトラブルや評判が話題に上がることもあります。
採用担当として伝えたいこと
意外なところでの「しっぺ返し」は、本当によくあります。普段の立ち居振る舞いは必ず誰かが見ています。派遣登録の前後に限らず、どの職場でも誠実に仕事をすることが、長期的に自分を守ることになります。
派遣を使いこなせない人|「見栄」が全てを壊す
派遣会社を使ってもなかなか仕事に繋がらない方には、共通点があります。それは「正直に話していない」ことです。変な見栄で素性を隠したり、過去の経歴を誤魔化したり。こういうごまかしは、ほぼバレます。仮にバレなかったとしても、コーディネーターがあなたの本当の状況を理解できないため、結局あなたに合わない仕事を紹介されることになります。
これは損する使い方
- 収入面の事情を「特に困ってません」と取り繕う
- 持病や通院の状況を隠す
- 過去の退職理由を「会社都合」と言い張る
- 「前職は管理職でした」と肩書きだけ強調する
- 「何でもいいので紹介してください」と希望条件を伝えない
派遣で「破格の条件」に出会ったときの落とし穴
派遣ではたまに、シニア層でもとんでもなく破格の条件で働ける案件に出会うことがあります。コロナ禍のワクチン接種の予約受付業務、大型イベント関連の業務などが典型でした。こういう案件は、本来期間限定の特殊な事情によって発生する一時的な高単価です。それ自体が悪いわけではなく、ボーナス的に経験できればラッキーな機会です。問題は、それを一度経験すると基準が壊れてしまうことです。
高時給案件で金銭感覚が狂うパターン
まるで麻薬のように、その特殊な単価を一度味わうと、通常の案件が安く見えてしまう。「この時給じゃ働けない」と思うようになり、自分の力を過信して身の丈以上のものを探そうとする。そして今ある仕事に感謝できなくなる。採用担当として、過去に特殊高単価案件を経験した方が「次もあれくらいの条件じゃないと」と言って紹介されてくると、正直「この方は長続きしないのではないか」と疑ってしまいます。実際、そういう方の定着率は明らかに悪いのです。
派遣でいい条件に出会えたら、それはありがたい例外として受け取ること。常に謙虚な心で、「紹介してもらえること自体が当たり前ではない」という前提を忘れない方が、結果的に長く働けます。
採用担当が見た「長続きするシニア・早く辞めるシニア」
毎年何百人ものシニアと向き合ってきた立場から言うと、長続きするかどうかは、ある程度「雰囲気」でわかります。それを言語化すると、以下のようになります。
FIG.6 / 採用担当として何百人と向き合ってきた経験から。当たり前のことを当たり前にやり続けることが、最も難しい。
「謙虚」という言葉を誤解する方がいるので補足します。言われたことを何でも聞く、という意味ではありません。自分なりの考えや経験への自信を持ちながら、指導・アドバイスには理由があると素直に受け止め、まず実践してみること。これが謙虚の本質です。当たり前のことを当たり前にやり続けることは本当に難しい。でも、それができる方は結果的に給与も上がり、職場での評価も高まります。
派遣でできる仕事・できない仕事
派遣会社には「得意な業種」と「ほぼ扱わない業種」があります。これを知らずに登録すると、希望の仕事が見つからずに時間を無駄にすることがあります。
派遣で見つかりやすい仕事
シニアが派遣で見つけやすい代表的な仕事は、コールセンター・事務職・販売・軽作業・清掃などです。特にコールセンターは派遣案件が圧倒的に多く、シニアの未経験採用も活発です。コールセンター・BPO業界に強い派遣会社は多数あり、シニア向けの研修体制も整ってきています。
派遣で見つかりにくい仕事・できない仕事
マンション管理人は、派遣で扱う案件が比較的少ない職種です。マンション管理は管理会社による直雇用が中心で、派遣会社経由の求人はあまり多くありません。希望する場合は、ハローワークや管理会社のWebサイトから直接応募する方が早道です。また、警備の仕事は一般派遣からの派遣が法律で禁止されています(警備業法)。警備員として働きたい場合は警備会社へ直接応募するしかありません。
登録前に自分で整理しておく条件リスト
派遣会社に登録する前に、自分で条件を整理しておくと、面談がスムーズに進み、コーディネーターも適切な提案をしやすくなります。以下のチェックリストを使って整理してみてください。
登録前チェックリスト
- 働く時間帯:夜勤は可能か、日勤固定希望か、朝早い時間帯は可能か
- 勤務日数:週何日働きたいか、月にどれくらいの収入が必要か
- 通勤距離・エリア:自宅から何分以内、どの路線まで対応可能か
- 体力面・健康面:持病や通院状況、立ち仕事は可能か、力仕事は無理か
- 年金との兼ね合い:在職老齢年金の調整を希望するか、月収の上限希望はあるか
- 未経験職種への挑戦意欲:新しい仕事をやってみたいか、経験を活かしたいか
これらを「曖昧に」ではなく「具体的に」答えられるようにしておくと、コーディネーターは精度の高い提案ができます。
派遣会社の選び方|2〜3社登録してコーディネーターで選ぶ
派遣会社の選び方には、私なりの結論があります。2〜3社に登録して、3人のコーディネーターを比較する。その中で「この人だ」と思えた1人にベットする。これが最もシニアに合うやり方です。
なぜ最初から1社1人に絞らないのか
1社の1人のコーディネーターにいきなり全てを委ねるのはリスクが大きいです。その人との相性が悪かった場合、派遣会社全体の評価まで「合わなかった」になってしまい、派遣という選択肢自体を諦めてしまいます。2〜3社に登録すれば、誰が話を聞いてくれるか、誰が現実的な提案をくれるか、誰が「自分を向いている」と感じるか、比較してみると違いがはっきり見えてきます。派遣会社によって得意な業種も違うため、得意領域の違う会社を組み合わせると選択肢が広がります。
「この人だ」と決めたら深く組む
3人を比較して「この人だ」と思える担当者が見つかったら、そこに深くベットしてください。手広く浅く付き合うより、選び抜いた1人と密に組む方が、結果的にあなたへの理解度が上がり、より良い仕事に繋げてもらえます。長期で就業すれば無期雇用への転換につながる可能性もあり、関係値が深まれば良い案件を優先して紹介してもらいやすくなります。これは私自身、採用担当として複数の派遣会社と取引してきた経験から出ている結論です。
ハローワークの使い方|シニア専用窓口がある
派遣の話を続けてきましたが、シニアの仕事探しでハローワークを軽視してはいけません。むしろ、安定した直雇用を求めるシニアにとって、ハローワークは派遣会社以上に強力な味方になります。
「生涯現役支援窓口」を知っていますか
厚生労働省では、全国の主要なハローワーク約300箇所において、概ね60歳以上の高年齢者への総合的な就労支援を実施する「生涯現役支援窓口」を設置しています。これは普通のハローワーク窓口とは別の、シニア専用の相談窓口です。これまでの就労経験や年金の受給状況など、現在の生活環境を踏まえた一人ひとりのニーズに寄り添った職業相談・職業紹介を行い、必要に応じて職場見学・面接会・セミナーの紹介、公共職業訓練の受講あっせんなども案内されます。普通の窓口で「年齢的に難しい」と言われた方も、生涯現役支援窓口では「シニアを採用したい企業」の求人にアクセスできることがあります。
ハローワーク経由で応募すると企業に大事にされる構造
あまり知られていませんが、シニアをハローワーク経由で雇い入れる企業には、条件に応じて助成金が出る仕組みがあります。これを理解している、シニア雇用に積極的な企業ほど、シニアスタッフを大事にする傾向があります。
ハローワーク利用で気をつけること|「お客様意識」が損する
ここから少し耳の痛い話をします。ハローワークを利用するシニアの方には、一定数「窓口で偉そうにしてしまう」方がいます。近年「カスタマーハラスメント」という言葉が社会問題になっていますが、これと同じ構造です。「お客様」「利用者」「公共の場なら納税者」だから自分が偉い、という勘違いが、年長者ほど強い傾向があります。
ハローワーク窓口でのNG行動
- 担当者に対して敬語を使わない
- 「税金で運営してるんだから」という態度を取る
- 希望に合わない求人を紹介された時に怒る
- 「自分の経歴を考えれば当然これくらいの仕事は紹介されるべき」という態度
- 窓口で大声を出したり、横柄な態度を取る
こういう態度を取るシニアの方には、ハローワークの担当者も本気で仕事を探そうとは思いません。さらに言えば、そんな方を企業に紹介したら、企業側も受け入れを辞めてしまいます。ハローワークを利用する必要があるということは、その時点であなた自身が支援を必要としている状況です。それは現実として受け入れて、節度ある対応で臨むこと。これが回り回ってあなた自身を救います。
自治体のシニア就業支援を使え
派遣会社・ハローワークに加えて、もう一つ強力な選択肢があります。各都道府県・市町村が運営しているシニア就業支援機関です。これを知らないシニアの方が圧倒的に多いのですが、本気で仕事を探す方にはぜひ活用してほしい資源です。
東京の例:東京しごとセンター
東京しごとセンターは、東京都が都民の雇用や就業を支援するために設置した、仕事に関するワンストップサービスセンターです。就業相談から、各種セミナーや能力開発、求人情報の提供・職業紹介まで、就職に関する一貫したサービスを提供しています。シニアコーナーでは、55歳以上の方を対象に、これまでの職業経験や希望に応じたキャリアカウンセリングや、就職活動の段階に応じたセミナーをオンラインでも無料で行っています。
注目すべきは、55歳以上の方のための就職支援講習として、警備スタッフ・ベビーシッター・ビル清掃・保育補助員などの短期講習が定期的に開催され、講習最終日にハローワーク主催の「合同面接会」がセットになっている仕組みです。スキルがないからシニアの仕事は無理、と思い込んでいる方ほど、こういう講習で一気に選択肢を広げられます。
あなたの地域でも検索すれば見つかる
東京以外の方は、「住んでいる県名 + シニア + 就業支援」または「市名 + シニア + 就業支援」で検索してみてください。
・「大阪 シニア 就業支援」
・「福岡市 シニア 仕事」
・「神奈川 高齢者 就労支援」
・「愛知県 シニア 再就職」
各都道府県・主要市町村には、シニア向けの就業支援機関が用意されています。多くは無料で利用できます。
なお、シニアの就労支援というと「シルバー人材センター」を思い浮かべる方も多いですが、こちらは草むしりや軽微な作業といったスポット型の仕事が中心です。たまに働きたい方には合いますが、収入を安定させたい方や、コールセンター・マンション管理のような継続的な仕事を希望する方には、派遣会社・ハローワーク・自治体支援の方が適しています。
「派遣=正社員になれなかった人」という偏見への回答
シニアの中には、「派遣は正社員になれなかった人がやるもの」という古い世代の偏見を持っている方がいます。これに対して、私の正直な回答を書きます。少し厳しいので、心の準備をしてから読んでください。
仮にその偏見が正しいとして、考えてみてほしいことがあります。あなたは今、その年齢で正社員にもなれるスキルと経験、誰もが欲しがるものを持っていますか。持っていたら、こんな記事には辿り着いていないはずです。普通に転職エージェントから連絡が来て、好条件のオファーを受けて、選び放題の状況にいるはずです。そうではなく、この記事に辿り着いたということは、世の中があなたを「即戦力として欲しがる状況」にはない、という現実があるということです。
採用担当として正直に
これを謙虚に受け止めること。そして、今ある世の中の使えるサービス(派遣会社・ハローワーク・自治体支援)をうまく活用すること。それが、現実的に仕事に繋がる最短ルートです。いくつになっても自分をアップデートする必要があります。キツイ言い方ですが、これが真実です。
この話にムカついたなら、この記事を消してくれてもいいです。でも、少しでも「その通りかもしれない」と思うなら、耳を傾けて行動して、自分の生活をさらに良いものにしてほしい。そう願って書いています。
派遣の「不安定」は、シニアにとってむしろ「安定」
「派遣は不安定」という言葉は、シニアに対しては実は的外れです。定年を超えた年齢になると、雇用形態は基本的に有期雇用がほとんどになります。直雇用であっても嘱託社員・契約社員という形が多く、無期雇用で安定を望める時代ではすでにありません。その前提で考えると、派遣の方がシニアにとって「むしろ安定」という構造が見えてきます。派遣であれば、仮に今の仕事が無くなっても、派遣会社が次の仕事を探してくれます。直雇用の有期契約だと、契約満了になった瞬間、自分で次の仕事を探さなければなりません。「次を探してくれる人がいる」という環境は、シニアにとって計り知れない安心感です。
よくある質問
派遣会社への登録にお金はかかりますか?
登録は完全に無料です。派遣会社は派遣先企業から派遣料金を受け取って収益を得るため、求職者から登録料や紹介料を取ることはありません。「登録料が必要」と言ってくる会社は疑ってください。
何社に登録するのがベストですか?
仕事を早く決めたいなら2〜3社が目安です。派遣会社ごとに得意な業種が違うため、複数登録で選択肢が広がります。ただし相性のいいコーディネーターが見つかったら、そこに集中して実績を積むほうが長期的には良い結果につながります。
60代でも派遣会社に登録できますか?
できます。派遣会社への登録に年齢制限を設けることは法律で禁止されています。何歳であっても「年齢」を理由に登録を断ることはできません。近年はシニアの登録者が増え、派遣会社側もシニア向けの体制を整えています。
派遣と直雇用、どちらを選べばいいですか?
長期で安定した雇用を求めるなら直雇用がおすすめです。一方、仕事の選択肢を広げたい、次の仕事を自分で探すのが不安、トラブル時に第三者へ相談したいという場合は派遣が向きます。両方を併用するのも有効です。
スマホやパソコンの操作が苦手ですが、登録できますか?
派遣会社によります。電話登録や来社対応の会社もあり、「操作が苦手なので電話で対応してほしい」と最初に伝えれば対応してくれる会社は多いです。ただし現代の仕事は最低限のスマホ操作が前提の職場が増えているため、この機会に基本操作を覚えることをおすすめします。
持病があっても派遣で働けますか?
働けます。ただし持病や通院状況は最初の面談で正直に伝えてください。隠すと支障の出る職場に配属されるリスクがあります。正直に伝えれば、それを踏まえて合う職場を提案してもらえます。
在職老齢年金を受け取りながら派遣で働けますか?
働けます。ただし月収によっては年金の一部が支給停止になる場合があります。登録時に「年金との兼ね合いで月収を調整したい」と伝えると、それに合う案件を提案してもらえます。詳細は年金事務所でも相談できます。
派遣でトラブルがあったとき、誰に相談すればいいですか?
派遣会社のコーディネーターに相談してください。第三者として間に入ってもらえるのが派遣の強みです。早めに連絡し、事実関係を正確に伝えることが大切です。なんでもハラスメントと決めつけず、事実ベースで話すことが適切な対応につながります。
派遣会社の「3年ルール」とは何ですか?
同じ派遣先の同じ部署で3年を超えて働けないというルールです(労働者派遣法)。ただし60歳以上のシニアはこの3年ルールの例外となり、同じ職場で3年を超えても働き続けられます。シニアに有利な法的メリットのひとつです。
この記事のまとめ
- シニアの仕事探しは派遣・ハローワーク・自治体支援を組み合わせるのが正解。一人でやらないことが最重要
- 派遣の三角関係。給与・社保は派遣会社から、業務指示は派遣先企業から。この分離を理解することがスタート
- コーディネーターは「自分に合う働き方を見つけてくれる人」。「あなたを向いているか派遣先を向いているか」で見極める
- 同一労働同一賃金で「派遣だから安い」は過去の話。業界水準では派遣の方が高い場合もある
- シニアには3つの法的メリット。年齢制限なし、3年ルールの例外(60歳以上)、日雇い派遣OK(60歳以上)
- 派遣会社は2〜3社登録して3人を比較し、「この人だ」と思える1人に深くベットする
- ハローワークには「生涯現役支援窓口」という60歳以上専用窓口が全国約300箇所にある。直雇用希望なら最強の味方
- 各都道府県・市町村にシニア就業支援機関がある。「地域名 + シニア + 就業支援」で検索
- 破格の高時給案件に出会っても基準を壊さない。見栄・プライド・素性を隠す行動は、すべて自分が損する
- 派遣の「不安定」は、有期雇用前提のシニアにとってはむしろ「安定」。次を探してくれる人がいる価値は大きい
まず登録するだけでいい。コーディネーターが条件を聞いてくれるので、「どんな仕事が合うかわからない」状態からでも始められます。

