「70歳まで働きたいけど、体力が不安」。この言葉を採用担当として何百回と聞いてきました。
結論から言います。体力の不安が先に来ている人は、仕事の選び方が逆です。体力より先に確認すべきことがあります。この記事では、70代後半まで現役で働き続けている人を実際に見てきた採用担当の立場から、「続く人の共通点」「職種別の体力負荷の現実」「持病・体力の不安をどう見ているか」「できない理由の正体」を一次情報でお伝えします。
70歳まで雇ってもらえる会社はあるか|年齢上限は定年規定で会社ごとに全然違う
まず現実を確認します。「70歳まで働きたい」という希望に対して、企業側が受け入れられるかどうかは、各社の定年規定によって全く異なります。
私の会社では雇い入れ年齢が74歳までです。70代後半でも現役で働いているスタッフが実際にいます。一方で、定年が65歳に設定されている企業では、再雇用制度がなければ65歳で雇用が終わります。
◯ 応募前に確認すべき3点
- 定年年齢はいくつか(65歳・70歳・なし など)
- 定年後の再雇用制度はあるか
- 実際に何歳のスタッフが現役で働いているか(説明会・面接で直接聞ける)
「70歳まで働けるか」は自分の体力の問題より先に、企業の制度の問題です。求人票の「シニア歓迎」という表現だけでは判断できません。応募前に確認することが第一歩です。
体力的に続けやすい仕事・続けにくい仕事|職種別の現実
体力面での負荷は職種によって大きく異なります。採用担当として複数職種を管轄してきた立場から、率直にお伝えします。
◯ 体力的に続けやすい条件
- 屋内・オフィスワーク(季節・天候に左右されない)
- 座り仕事が中心(足腰への負担が少ない)
- シフトの時間帯が固定(生活リズムが整いやすい)
- 週3〜4日・1日6時間以内(体への負荷を調整できる)
コールセンター(特にアウトバウンド=発信型)は、オフィスワークという圧倒的な強みがあります。アウトバウンドは企業向けなら土日休みがほとんどで、時間帯も決まっているためライフサイクルが整いやすい。体力面では非常に続けやすい職種です。
一方、マンション管理人や警備員は外仕事が多く、夏場・冬場の気候変化という季節要因があります。体力的に丈夫な方が向いているのは事実です。ただし「週何日働くか」「1日何時間か」によって負荷は大きく変わります。週2〜3日・日勤のみという条件なら、60代後半でも続けている方は多くいます。
FIG.1 / 職種別 体力負荷と続けやすさ(採用担当の現場観察)
70代でも元気に働いている人の共通点|採用担当が実際に見てきたこと
私の会社には70代後半のスタッフが実際にいます。長く元気に働いている人たちを見てきて、共通点があることに気づきました。
◯ 長く続く人の共通点5つ
- 健康管理が行き届いている。定期検診・体調の自己把握ができている
- 軽い運動を日常的に続けている。スイミング・散歩・体操など週2回程度
- 趣味を持っている。仕事以外のガス抜きの場がある(麻雀・バレー・園芸など)
- 外見に気を配っている。年齢を感じさせない清潔感と表情の明るさがある
- 「まだ30年ある」という前向きなメンタルがある。70歳をゴールではなく中間点として見ている
持病・体力の不安、採用担当はこう見ている
「持病があるのですが採用されますか」という不安を持つ方は多いはずです。採用担当として正直にお伝えします。判断基準は「持病があるかどうか」ではなく「体調が安定しているかどうか」です。
持病・通院があっても働けるか
◯ 採用担当が「問題なし」と判断する持病・通院のケース
- 定期検診・健康診断など、スケジュールが固定されている通院
- 「毎月第2火曜日は通院で午前休みが必要」のように事前に把握できる
- 通院日のシフト調整を事前に相談できる
- 持病があっても日常業務への支障がない状態が安定している
突発的な体調不良が繰り返される
採用担当として継続雇用が難しいと感じるのは、「日によって体調が左右される」「突発的な症状で急に休む」というパターンです。一度休み癖がつくと、本当によく休むようになります。シフトに穴が開き続けると職場全体に影響します。こうした場合は、シフトの縛りが少ないスポット的な働き方のほうが合っていることもあります。
「持病があること」が採用のNGラインではありません。持病があっても安定して勤怠を守れている方は、採用担当から見て全く問題ありません。面接では「持病はありますが、通院は月1回・固定日程で業務には支障ありません」のように、具体的に安定性を伝えることが大切です。
「体力に自信がある」人ほど注意したい理由
「自分はまだ若いつもりでいる」「体力には自信がある」と言って応募してくる方は珍しくありません。ただ採用担当として、この言葉を聞くときに一つ確認したいことがあります。
採用担当が面接で確認するポイントの一つが、前職を辞めた理由と現在の体力・健康状態の整合性です。「体力的にきつくなったので前職を辞めた」と言いながら「体力には自信があるので週5フルタイムで働ける」と言う。このズレが黄色信号です。採用担当は「本当のことを言っていないのかな」「入社後に同じ理由で休むのでは」と感じます。
◯ 体力・健康について面接で伝えるベストな方法
「前職は立ち仕事が多く体に負担がかかりましたが、今は休養が取れて回復しています。週3〜4日・1日6時間程度であれば問題なく働けます」。このように「現在の状態」と「無理のない働き方の条件」を具体的に伝えるのが採用担当に最も信頼されます。過大評価も過小評価もせず、正確に伝えることが大切です。
「続けられるか不安」の正体を紙に書け|できない理由は子供でも見つけられる
「体力に自信がない」「70歳まで続けられるかわからない」。この不安の正体を、一度紙に書き出してみてください。「なぜできないと思っているのか」を明文化するのです。
「できるかわからない」で思考停止する
「体力が不安」「年齢的に無理かも」という言葉は、実は何も言っていないことと同じです。体のどこが不安なのか。どんな仕事ならできるのか。できない条件と、できる条件は何か。これを具体的に書き出さないと、不安は漠然としたまま動けなくなります。できない理由は子供でも見つけられます。問題はそこではありません。
私の会社には、透析を受けながら通勤しているスタッフがいます。持病を持ちながら働いている方も複数います。彼らに共通しているのは「できない理由を探すのではなく、どうやったらできるかを考えている」ことです。
採用担当がすすめる仕事選びの基準|健康寿命まで考えるなら「身体を使う仕事」
「70歳まで働きたい」という明確なゴールがあるなら、正直に言うとどんな仕事でもいいと思います。ゴールがある人は、その仕事を続けるために自分を合わせていく力があるからです。
ただ、あえて一つだけ言わせてもらうなら、身体を使う仕事をすすめます。
◯ 「身体を使う仕事」をすすめる理由
プライベートで運動しない人は、必ず衰えが来ます。これは多くのシニアを見てきた現場観察から言えることです。一方、仕事で身体を使えば、嫌でも人より運動量が増えます。それが70代以降の健康寿命に直結します。健康あっての仕事であり、老後の生活です。
FIG.2 / 70歳以降の健康寿命を左右する要素(採用担当の現場観察)
よくある質問
70歳以降も雇ってもらえる会社はどうやって探せばいいですか?
求人票の「シニア歓迎」という表現だけでは判断できません。応募前の会社説明会や面接で「実際に何歳のスタッフが現役で働いていますか?」と直接聞くことが一番確実です。採用担当として、この質問をされると「本気で長く働きたい人だ」という好印象につながります。
持病があっても採用してもらえますか?
持病の種類と状態によります。定期検診やスケジュールが固定された通院であれば、シフトに支障が出にくいため採用されるケースは多いです。一方、突発的な体調変化が多い場合はシフトへの影響が懸念されます。不安な場合は面接時に正直に伝え、シフトの柔軟性を確認することをすすめます。
「体力不要」と書いてある求人は信用できますか?
求人票の「体力不要」は目安として参考にする程度にしてください。同じコールセンターでも、インバウンド(受電型)とアウトバウンド(発信型)では業務密度が全く異なります。実際の業務内容・シフト・1日の流れを説明会や面接で確認することが重要です。採用担当として、具体的な質問をしてくる応募者の方が入社後のミスマッチが少ないと感じています。
65歳からでも70歳まで5年間続けられますか?
職種・条件・本人の健康状態によります。コールセンターのアウトバウンドや、週3〜4日・日勤のみのシフト設計が可能な仕事なら、65歳から始めて70歳以降も続けている方は多くいます。最初から「5年続けること」を目標にするより、「今の自分にできる条件」を明確にして始める方が長続きする傾向があります。
体力に自信がなくなってきました。どんな仕事が向いていますか?
体への負荷が少ない仕事としては、コールセンター(座り仕事・屋内)、マンション管理員(基本的に常駐で体を大きく使わない)、軽作業(ピッキング・梱包など重労働ではないもの)などがあります。警備員は立ち時間が長いため体力が必要です。自分の体力を正直に把握して、条件に合う職種を選ぶことが長続きの第一歩です。
◯ この記事のまとめ
- 「70歳まで働けるか」は体力より先に、企業の定年規定の問題。応募前に確認を
- 体力面で続けやすいのはコールセンター(特にアウトバウンド)。オフィスワークの強みがある
- 持病があっても「体調が安定・通院スケジュールが固定」なら採用の障害にならない
- 「体力に自信がある」の自己評価と現実のズレが、入社後の離脱につながりやすい
- 長く続く人の共通点は健康管理・運動習慣・趣味・「まだ30年ある」というメンタル
- 健康寿命まで考えるなら「身体を使う仕事」。長く健康でいることが家族への一番の贈り物

