【2026年最新】在職老齢年金の月65万円基準をわかりやすく解説|計算方法・働き控え不要な理由

在職老齢年金2026年改正で基準額が月65万円に引き上げられた内容を解説したイメージ画像 仕事ラボ

THIS ARTICLE’S AUTHOR

ぐっさん|シニア採用責任者

  • シニア採用責任者として複数職種・複数センターの採用を管轄
  • 採用単価60%削減・年間140名採用実績
  • 年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた

「働くと年金が減る」——そう信じて仕事を控えているシニアの方は、今でも少なくありません。でも2026年4月、その前提が大きく変わりました。在職老齢年金の支給停止基準額が、月51万円から月65万円へ引き上げられたのです。

この記事では、2026年改正の内容・計算方法・「いくら稼いだら年金がいくら減るか」の具体例を、公的機関のデータをもとに整理します。「働き控え」をするかどうかの判断材料として、ぜひ最後まで読んでください。

この記事でわかること

① 2026年4月改正で何が変わったか(51万→65万円)/② 計算方法と具体的なシミュレーション/③ 年金が減らない「安全ライン」の目安/④ 70歳以上・国民年金のみの人の扱い/⑤ よくある誤解と正しい理解

※本記事は2026年5月時点の公開情報をもとにした情報整理記事です。個別の年金額・税務の判断は、お住まいの年金事務所・社会保険労務士にご相談ください。制度は改正が続くため、最新情報は日本年金機構厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

2026年4月改正で何が変わったか

在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受給しながら働く人を対象に、給与と年金の合計が一定額を超えた場合に年金の一部または全額が支給停止になる制度です。「働くと年金が減る」という言い方をされるのは、この制度のことです。

2025年6月に「年金制度機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立し、2026年4月1日から施行されました。最大の変更点は支給停止基準額(支給停止調整額)の引き上げです。

🔍 タップで拡大して読めます
在職老齢年金 改正前後の比較 改正前(〜2026年3月) 月51万円 支給停止基準額 これを超えると 年金が一部停止 2025年度の適用額 改正後(2026年4月〜) 月65万円 支給停止基準額 これ以下なら 年金は全額支給 14万円の大幅引き上げ 出典:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」

FIG.1 在職老齢年金の改正前後の基準額比較(2026年4月施行)

法律の成立時点では基準額62万円として試算されていましたが、その後の賃金変動を反映し、2026年4月施行時点では65万円が適用されています。この数字は毎年度、名目賃金変動率に連動して改定されるため、来年度以降は変わる可能性があります。

「62万円」と書いている記事は古い情報

2026年4月施行時点の正確な基準額は月65万円です。法律成立時の試算値62万円をそのまま掲載しているメディアも一部あります。厚生労働省・日本年金機構の公式情報で確認してください。

出典:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」/日本年金機構「在職老齢年金の計算方法

そもそも在職老齢年金とはなにか

制度の仕組みを改めて確認しておきます。在職老齢年金の対象になるのは、以下の条件を満たす人です。

  • 老齢厚生年金を受給している(60歳以上)
  • 厚生年金に加入して働いている(会社員・パート等で社会保険に加入)

重要な前提として、対象になるのは「老齢厚生年金」のみです。すべての人が受け取る老齢基礎年金(国民年金分)は、収入にかかわらず全額支給されます。また、自営業者など厚生年金に加入していない人は、そもそもこの制度の対象外です。

在職老齢年金の対象外になる人

  • 自営業・フリーランス(国民年金のみで厚生年金未加入)
  • 週20時間未満のパート・アルバイト(厚生年金に加入しない働き方)
  • 老齢基礎年金のみ受給している人(厚生年金加入歴なし)
  • 70歳以上で厚生年金に加入していない人(詳細後述)

「給与と年金の合計」の計算に使う2つの数字

基準額(月65万円)との比較に使う数字は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の2つです。

基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額のことです。年金証書に記載されている厚生年金部分を12で割った金額が目安です。

総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額(給与の社会保険上の月額)に、過去1年間の賞与を12で割った金額を加えたものです。月給だけでなく、賞与も含まれる点に注意が必要です。

計算方法と具体的なシミュレーション

計算式はシンプルです。

在職老齢年金の停止額の計算式

(基本月額 + 総報酬月額相当額 - 65万円)÷ 2 = 支給停止額

※基本月額+総報酬月額相当額が65万円以下の場合は停止額ゼロ(全額支給)

つまり、65万円を超えた分の半分だけが停止されます。「働くと年金が全部なくなる」のではなく、超過分の半分が調整されるだけです。しかも、給与が増えれば当然手取りも増えるため、「働き損」にはならない設計です。

🔍 タップで拡大して読めます
月収別・年金支給パターン計算例 前提:老齢厚生年金(基本月額)=月10万円の場合 月給 合計 停止額 年金受取 月40万円 年収約480万円 50万円 ゼロ 65万円以下 10万円全額 月60万円 年収約720万円 70万円 2.5万円 (70-65)÷2 7.5万円 月70万円 年収約840万円 80万円 7.5万円 (80-65)÷2 2.5万円 月85万円 年収約1,020万円 95万円 10万円 (95-65)÷2 ゼロ (全額停止) 出典:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」をもとに作成

FIG.2 月収別・在職老齢年金の支給パターン計算例(基本月額10万円の場合)

表を見てわかるとおり、月給40万円(年収約480万円)の場合、年金と給与の合計が50万円で65万円以下のため、年金は全額受け取れます。多くのシニアパート・シニアアルバイトの実態を考えると、月給が55万円未満であれば、年金の支給停止はほとんど起きないと言えます。

出典:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法

SIMULATOR

在職老齢年金 かんたん計算ツール

年金月額・月給・賞与を入れるだけ。年金がいくら受け取れるかをすぐ確認できます。

STEP 1

老齢厚生年金の月額(基本月額)

年金証書の「老齢厚生年金」欄の月額。ねんきん定期便でも確認できます。

万円 / 月

STEP 2

月給(標準報酬月額)

社会保険証に記載の「標準報酬月額」が正確です。おおよその月給でも計算できます。

万円 / 月

STEP 3

賞与の年間合計(ない場合は0)

賞与は12で割って月換算されます。年2回なら合計額を入力してください。

万円 / 年

採用担当が見てきた「働き控えするシニア」の実態

制度の話だけでは見えてこない現実があります。年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた採用担当として、感じていることを正直にお伝えします。

採用担当からひとこと

「面接で『年金があるので、月に〇〇万円までしか働けません』という方は少なくありません。でも話を聞いていると、多くの場合、制度の正確な理解よりも『働くと年金が減る』というイメージだけで判断しているケースが目につきます。改正で基準が65万円に上がった今、コールセンターやマンション管理のパートで月15〜20万円程度働いても、多くの場合は年金には影響しません。正確に計算してから判断してほしいと思います。」

COMMENT 「なんとなく年金が減りそう」という思い込みが、働く機会を狭めているケースがあります。自分の年金月額と希望月収を確認し、実際に計算してみることをおすすめします。

70歳以上・国民年金のみの人の扱い

70歳以上の人

70歳以上になると、原則として厚生年金への加入義務がなくなります。ただし、厚生年金適用事業所で働き続ける場合は、在職老齢年金の対象になります(70歳以上被用者の在職老齢年金)。計算方法は65〜69歳と同じです。

一方、70歳以上で厚生年金に加入しない働き方(例:小規模な個人事業所でのアルバイト、週20時間未満の勤務など)をしている場合は対象外です。

国民年金のみの人(自営業・フリーランス)

自営業者やフリーランスなど、厚生年金に加入していない人は在職老齢年金の対象外です。いくら働いても老齢基礎年金(国民年金)は全額受け取れます。

在職老齢年金の対象になるかチェック

  • 老齢厚生年金を受給している → 対象になりうる
  • 現在、厚生年金加入の職場で働いている → 対象になりうる
  • 上記2つが両方あてはまる → 計算が必要
  • 国民年金のみ受給(厚生年金加入歴なし or 自営業) → 対象外
  • 70歳以上・厚生年金非加入の働き方 → 対象外

出典:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて

よくある誤解と正しい理解

🔍 タップで拡大して読めます
よくある誤解 vs 正しい理解 ❌ 誤解 働くと年金が 全部なくなる ✓ 正しい理解 超えた分の半分が 調整されるだけ ❌ 誤解 基準額は62万円 (法律成立時の試算値) ✓ 正しい理解 2026年4月施行時点は 65万円 ❌ 誤解 自営業でも 年金が減る ✓ 正しい理解 国民年金のみの人は 対象外・全額受給 出典:日本年金機構・厚生労働省の公式情報をもとに作成

FIG.3 在職老齢年金のよくある誤解と正しい理解

よくある質問(FAQ)

年金事務所で自分の正確な試算を確認できますか?

はい、確認できます。最寄りの年金事務所に予約すると、個別の年金額・総報酬月額相当額をもとにした在職老齢年金の試算相談が可能です。また、日本年金機構が運営する「ねんきんネット」でも、2026年4月以降は65万円基準での試算に対応しています。

賞与があると計算はどう変わりますか?

総報酬月額相当額の計算には、過去1年間の賞与合計を12で割った額が加算されます。例えば月給20万円でも、年間賞与が60万円あれば「20万+5万(60÷12)=25万円」が総報酬月額相当額になります。月給だけで計算すると実際より少なく見えるため、賞与がある場合は含めて計算してください。

65万円という基準額は毎年変わりますか?

はい、毎年度、名目賃金変動率に連動して改定されます。2026年4月施行時点では65万円ですが、翌年度以降は変わる可能性があります。最新の基準額は毎年4月に厚生労働省・日本年金機構が公表するため、年度が変わったタイミングで確認することをおすすめします。

老齢基礎年金(国民年金分)も減りますか?

減りません。在職老齢年金で調整の対象になるのは「老齢厚生年金」のみです。老齢基礎年金(国民年金から支払われる部分)は、収入にかかわらず全額受け取れます。

パートで週3日・月15万円程度働く場合、年金への影響は?

多くの場合、影響はありません。月給15万円で年金の基本月額が10〜15万円の場合、合計は25〜30万円となり、65万円の基準額には大きく届きません。ただし、社会保険(厚生年金)に加入しているかどうかが前提条件です。週20時間未満の勤務など厚生年金に加入しない働き方の場合は、そもそも在職老齢年金の対象外です。

RELATED GUIDE

年金以外の「壁」も整理しておきたい方へ

在職老齢年金(65万円)はシニアが注意すべき壁のひとつです。これ以外にも 106万円の壁(社会保険)・130万円の壁(扶養)・178万円の壁(所得税)・60歳以上特例の180万円 があります。それぞれの意味・損得・2026年の変更点を一気に整理した完全ガイドです。

【2026年最新】シニアの年収の壁 完全ガイドを読む →

この記事のまとめ

  • 2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額が月51万円→65万円に引き上げられた(法律成立時の試算値62万円ではなく、施行時点で65万円が正しい)
  • 計算式は「(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2=停止額」。超えた分の半分だけが調整されるため「働き損」にはならない
  • 月給が55万円未満(年金基本月額10万円の場合)であれば、年金への影響はほぼない
  • 対象は老齢厚生年金のみ。老齢基礎年金(国民年金分)は全額受給できる
  • 国民年金のみの人(自営業・フリーランス)は制度の対象外
  • 正確な試算は最寄りの年金事務所・「ねんきんネット」で確認を

「働くと年金が減る」という漠然とした不安が、働く機会を狭めていることがあります。改正後の今、多くのシニアパートの月収水準では年金への影響はほとんどありません。自分の数字を確認した上で、前向きに選択してほしいと思います。

シニア歓迎の求人を探している方へ

年金への影響を確認したら、次は求人選びです。シニア採用に積極的な企業の求人はバイトルやマイナビミドルシニアで「シニア歓迎」「60代活躍中」等のキーワードで絞り込むと見つかりやすいです。

著者:ぐっさん|シニア採用責任者

EDITOR IN CHIEF

シニア採用責任者として複数職種の採用・採用説明会を管轄。年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた。採用単価60%削減・年間140名採用・離職率38%→18%改善の実績。上場企業の採用戦略に貢献~現役責任者。

タイトルとURLをコピーしました