介護離職からの再就職——採用担当が見た「採用できる人・できない人」の差

介護離職からの再就職。採用担当が見た採用できる人とできない人の差を解説 仕事ラボ

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ぐっさん|シニア採用責任者

  • シニア採用責任者として複数職種・複数センターの採用を管轄
  • 採用単価60%削減・年間140名採用実績
  • 年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた

「親の介護で仕事を辞めました。介護が落ち着いたので、また働きたいと思っています」——この言葉を採用担当として面接で聞いたとき、私はまず「今も介護中ですか?それとも終わりましたか?」と確認します。この一つの問いが、その後の採用判断を大きく変えるからです。

採用担当として年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた立場から、介護離職後の再就職で「採用できる人・できない人」の差を正直にお伝えします。空白期間の扱い方、再就職のタイミング、介護しながら働く選択肢まで、一次情報でお伝えします。

「まだ介護中」と「介護が終わった」——採用担当が見る最大の違い

介護離職後に面接に来るシニアと話していて、採用担当として「採用できる」「難しい」を分ける最も大きな要因は、スキルでも空白期間の長さでもありません。「今も介護中かどうか」です。

採用担当からひとこと
「介護理由で辞めていた人で難しいはないかな。でもまだ介護中だと難しいとなる。突発的な休みなどが必要になったり、ご自身の負担を考えると、そこから復職というのはリスクが大きいと思う。仕事していて介護始まって働き方を変えるの方がリスクは小さい。仕事をしていない→はじめる、これは慣れるまでの精神的・肉体的負担は思ったより大きい(特にシニア)。」

この言葉の構造を整理します。採用担当の視点では「介護が終わった後の再就職」と「介護中の新規就業」は、全く別の判断になります。

「仕事しながら介護が始まる」と「介護中から仕事を始める」の違い

多くの方が見落としているのが、この2パターンのリスク構造の違いです。

「仕事をしていて介護が始まった」場合——職場のルール・人間関係・仕事の流れはすでに身についています。そこに介護が加わる形なので、職場への影響は「シフト調整が必要になる」程度で済むことが多い。

一方「仕事をしていない状態から介護しながら新たに始める」場合——新しい職場のルールを覚えること・人間関係を構築すること・仕事のペースをつかむこと、これらすべてに介護の負担が乗っかります。採用担当として、この状態で「大丈夫です」と言う方を採用することは、その方自身にとってもリスクが大きいと判断しています。

採用するかどうかは別として、採用担当として「今の状況でその負荷に耐えられますか?」という問いは、応募者を守るための確認でもあります。

空白期間は採用に不利か——採用担当の本音

「履歴書に2〜3年の空白があります」——これを面接前から心配している方は多いと思います。採用担当として正直に答えます。

◯ 採用担当の本音:空白期間の理由が明確なら何もマイナスにならない

「理由は聞きます。介護なのか、病気なのか。明確に理由があれば何もマイナスにはならないです。ただし、シニアで空白があり働きたいとなるとその理由があるはずです。そこを明確に話せる必要があると思います。そこで『なぜ今働くのか』の動機につながってきます——生活のためなのか、社会とのつながりのためなのか。」

「理由が明確=マイナスにならない」——これが採用担当の本音です。介護や病気という理由は、社会的に合理的な説明ができます。採用担当として、それを批判することはありません。

問題になるのは「特に理由はなかったけど、ゆっくりしたかった」という空白です。採用担当として正直に言えば、この説明が続く場合「計画性がない、思慮が浅い」という印象につながります。それは「シフトを守れるか」「困難な場面でもやり抜けるか」という採用判断に影響します。

空白期間の「説明の仕方」で印象が変わる3パターン

説明パターン 採用担当の印象 判断
「親の介護が必要になり、仕事を離れていました。介護が落ち着いたので再就職を考えています」 理由が明確・状況の変化が分かる ◎ マイナスなし
「介護をしながらでも少し働ければと思っています」 まだ介護中の可能性・突発休みが懸念される △ 状況確認が必要
「しばらくゆっくりしていました。そろそろ働こうかと思って」 理由が不明確・計画性が見えない ✕ 動機の掘り下げが必要

「介護が終わった・落ち着いた」という事実を、具体的な言葉で伝えることが最も大切です。採用担当は理由を責めません。理由が明確に話せるかどうかを見ています。

採用担当が「採用しにくい」と感じる介護離職者の特徴

採用担当として「この方は今すぐは難しい」と感じる介護離職者には、共通の特徴があります。悪意があるわけではなく、状況の整理がまだ終わっていない方に多いパターンです。

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「介護しながらでも頑張ります」——この言葉が採用担当には一番困る

「介護しながら働きたい」という気持ちは理解できます。しかし採用担当として、突発的な休みの頻度や体力的な部分を確認すると「状況次第では急に休むことになるかもしれない」「今月は入れるけど来月はわからない」という答えが続くケースがあります。採用担当は「頑張る意志」より「実際にシフトを守れるかどうか」を見ています。曖昧なまま採用することは、その方にとっても職場にとっても双方にリスクになります。採用担当として「今は難しい」とお伝えすることが、むしろその方を守ることになると考えています。

「突発的な休み」が続くと起きること

採用担当として、シフト制の職場に入社した後に突発的な休みが続いた場合の影響を正直に話します。

シフト制の職場では、1人が急に休むと他のスタッフがカバーします。それが1回であれば問題ありません。しかし「また休んだ」という状況が続くと、周囲のスタッフへの負担が積み重なります。最終的には「あの人のせいで負担が増えている」という空気が生まれ、本人が職場に居づらくなるという悪循環が起きます。

採用担当として確認するのはそのためです。「デイサービスを利用している」「家族で役割分担が明確になっている」「特定の曜日・時間帯なら確実に動ける」——こういった具体的な見通しが話せる方は、採用担当として「一緒に働いていける」と感じます。

介護が終わったら——再就職のタイミングと心の準備

「親が施設に入りました」「親が亡くなりました」——介護が一段落したタイミングで、「そろそろ仕事に戻ろう」と考える方は多くいます。採用担当として、このタイミングについて正直にお伝えします。

採用担当からひとこと
「特にないです。介護が終わってひと段落する。一息つく。大事だと思います。」

「直後と数ヶ月後で採用に差はありますか?」という問いへの答えが「特にない」です。採用担当として、介護が終わってすぐに仕事を始めた人と、数ヶ月後に始めた人の間に評価の差はありません。むしろ「ひと段落してから動く」という判断は、自分の状態を正しく把握できている人の行動です。

「焦らなくていい」——ただし空白が長くなるほど難しくなる

一方で正直に言えば、空白期間が長くなるほど再就職の難易度は上がります。これはシニアに限らず、一般的な採用の実態です。

「ゆっくり休んでから動く」は正しい選択です。しかし「いつでも動けるから、もう少し待とう」と先延ばしにしていると、体力・気力・習慣の面で「動き出しのハードル」が上がっていきます。採用担当として、介護が落ち着いた後に「3〜6ヶ月以内に動き出す」というイメージを持っておくことをすすめます。

◯ 再就職を始める前の5点チェック

  • 介護の状況が「定期的な訪問・連絡で対応できる」程度に落ち着いているか
  • 「月にいくら必要か・週に何日なら働けるか」という数字が出ているか
  • 空白期間の理由を、簡潔に・ポジティブに説明できるか
  • 年下の上司・スタッフから指示を受けることへの心の準備ができているか
  • 「以前はこうだった」ではなく「今ここで何ができるか」で話せる準備ができているか

この5点が整っていれば、採用担当との面接は自然と建設的な会話になります。空白期間の長さより、この準備の有無の方が採用結果に大きく影響します。

介護しながら働きたい場合——採用担当が勧める選択肢

「介護が終わっていないけれど、少しでも働きたい」——このニーズを持つ方に向けて、採用担当として現実的な選択肢をお伝えします。

採用担当からひとこと
「突発的な休みの頻度や体力的な部分を確認します。やはり介護で急な休みが増える人は安定した職(シフト順守)は難しいと思います。でもデイサービスを利用したり、家族でサポートしあって役割分担が明確、シフト順守が可能なら問題ないです。逆に先が読めないけど働きたい、そういう人は隙間バイトを強くお勧めします。今は便利な世の中で、隙間バイトも単価が高いです。」

採用担当として見る「介護しながら働ける判断基準」はシンプルです。「シフトを守れるかどうか」——これだけです。

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介護状況別・採用担当が勧める働き方 介護が終わった・施設入所で落ち着いた パート・アルバイト・派遣など通常の就業が可能 → ひと段落してから動く。3〜6ヶ月以内の動き出しが目安 デイサービス利用・家族の役割分担が明確 シフト順守が可能なら通常就業に挑戦できる → 「週○日なら確実に入れる」という数字を面接で伝える 先が読めない・突発的な休みが避けられない シフト制の通常就業は双方にリスクが高い → 隙間バイト(タイミー・シェアフル)が最も現実的な選択肢 「シフトを守れるか」が分岐点。正直に話すことが双方を守る

「先が読めない」場合の現実的な選択肢——隙間バイト

「いつ急な休みが必要になるか分からない」という状況でも、収入を得たい方には隙間バイトという選択肢があります。タイミー・シェアフルといったマッチングサービスは、1日単位で仕事を選べるため、介護のスケジュールに合わせて柔軟に働くことができます。

「隙間バイトは月3万円程度の補填に向いている」という詳細な解説は、別記事で詳しく整理しています。介護しながら収入を確保したい方はあわせてご覧ください。

もう一つ、仕事探しと並行して検討できることがあります。実家の整理や生前整理のタイミングで、眠っている骨董品・食器・カメラ・レコードなどをまとめて査定に出すことです。介護や家族の整理がひと段落した後、家の中に意外な資産が残っていることは少なくありません。

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◯ この記事のまとめ

  • 「まだ介護中」と「介護が終わった」は採用担当にとって全く別の判断になる
  • 空白期間の理由が明確に話せれば、採用にマイナスにはならない
  • 「仕事をしていない→介護しながら始める」は精神的・肉体的負担が思ったより大きい
  • 「介護が終わったら焦らなくていい」——ただし3〜6ヶ月以内の動き出しが目安
  • シフト順守ができるかどうかが、介護中就業の唯一の判断基準
  • 先が読めない状況では隙間バイトが最も現実的。無理な就業は双方にとってリスク

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著者:ぐっさん|シニア採用責任者

EDITOR IN CHIEF

シニア採用責任者として複数職種の採用・採用説明会を管轄。年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた。採用単価60%削減・年間140名採用・離職率38%→18%改善の実績。上場企業の採用戦略に貢献~現役責任者。

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