「年金には手をつけたくない」60代女性が選んだ扶養内コールセンターの3年

扶養内でコールセンターで働く60代女性のインタビュー 実体験ラボ

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監修|ぐっさん(シニア採用責任者)

「実際に働いている人の本音が知りたい」。これからコールセンターで働こうという方が、いちばんほしいのはその情報だと思います。今回は、以前から面識のあるヒロコさん(仮名・60代後半)に声をかけ、大阪市内のカフェで直接お話を伺いました。扶養の範囲でコールセンターのパートを始めて、3年以上続けている方です。

顔を合わせて聞いたからこそ、求人票には書かれないことまで話してくれました。「受電と発信の分かれ道」、面接で本当に見られていたこと、そして年収の壁とシフトの付き合い方。ご本人の言葉に、採用する側の私が「なぜこの方が続いているのか」「ここは多くの人がつまずく点」という視点で解説を添えます。

※この記事は、当サイト「実体験ラボ」の対面インタビュー(2026年7月・大阪市内にて実施)をもとに、ご本人の掲載同意を得て構成しています。お名前は仮名、勤務先が特定される情報は伏せ、写真はプライバシー保護のため加工しています。

大阪市内のカフェでインタビューに応じる60代女性
大阪市内のカフェでお話を伺いました(プライバシー保護のため画像を加工しています)
ヒロコさんの働き方(大阪・60代後半) 仕事:コールセンター(受電中心・扶養内パート) シフト:週4日・1日4〜5時間 収入:月10〜12万円(扶養内でシフト調整) 勤続:3年以上(55〜59歳でスタート)

「扶養の範囲で働きたい」|年金に手をつけたくなかった

体験談

子育てが一段落して、また働こうと思いました。いちばんの理由はお金です。最近は物価も上がっていますし、年金にはできるだけ手をつけたくなくて。だから、扶養の範囲で働ける仕事を探していました。

コールセンターにしたのは、友人がそこで働いていて、話を聞いたのがきっかけです。もともと事務の仕事をしていたので、座ってできるオフィスワークがいいなと思って。体力の負担が少ないのも魅力でした。

大阪はコールセンターの求人が多くて、仕事内容もいろいろあります。ネットで求人を見ながら、年齢が高い私でも働けそうなところを探して、今の職場に決めました。ただ、未経験だったので「そもそも受からないんじゃないか」という不安は大きかったです。

採用担当より

「扶養の範囲で、年金には手をつけたくない」。とても現実的な動機で、私は面接でこう話してくれる方に安心します。働く目的がはっきりしている人ほど、入ってからの条件のミスマッチが起きにくいからです。

「事務経験があるから、座り仕事のコールセンターを」という選び方も理にかなっています。コールセンターはシニアの体力面の不安と相性がよく、未経験からの応募が最も多い職種のひとつ。ヒロコさんが感じた「未経験で受かるのか」という不安は、ほとんどの応募者が抱くものですが、実際には未経験歓迎の現場が大半です。コールセンターの全体像はこちらの完全ガイドにまとめています。

面接で聞かれたのは「PC・シフト・扶養」|答え合わせのようだった

体験談

面接で最初に聞かれたのは「パソコンは使えますか」でした。受電の仕事は、お客様と話しながら同時に入力すると聞いていたので。事務職だったので、そこは問題ありませんでした。同じ時期に入った、私より少し若い方は、パソコンが苦手ということで発信の部署に入っていましたね。

シフトについても、午前だけ・午後だけといった時間帯の勤務があって、決まった時間ではないけれど大丈夫か、と確認されました。子育ても終わって融通がきくので「大丈夫です」と即答しました。

あとは、扶養の範囲であることや、シフトを守れそうか、といったこと。振り返ると、私の働き方と会社が求める働き方が合うかどうか、答え合わせをしていたんだと思います。

採用担当より

ヒロコさんの「答え合わせをしていた」という表現は、面接の本質を見事に言い当てています。私たち採用側が確かめたいのは、スキルよりも「この人の働き方と、現場が求める働き方が噛み合うか」。シニア採用では、ここがいちばん大切です。

だからこそ、面接の前に「自分が入れる曜日と時間帯」「扶養の範囲かどうか」を整理しておくだけで、印象が大きく変わります。面接の準備と受け答えは、別記事でも詳しく触れています。

「電話しながら入力」ができるか|受電と発信の分かれ道

体験談

受電は、お客様と話しながら入力するので、ここができないと厳しいです。実際、それが苦手な方は、発信専門の部署に回っていました。だいたい私くらいの年代から上の方は、発信のほうが多かったですね。

受電をやりたい方は、会話しながらタイピングができれば、私の会社では大丈夫でした。ただ、職場によっては、もっと高度な操作を求められることもあると聞きます。苦手な方は、少し練習しておくか、最初から発信を選ぶのも一つの手だと思います。

採用担当より

これは、求人票にはまず書かれない現場のリアルです。「パソコンが使える」の中身は職場によって幅がありますが、受電では“聞きながら打つ”という同時作業が壁になりやすい。ヒロコさんの言うとおり、ここが受電と発信の実質的な分かれ道になることは多いです。

大事なのは、苦手=働けない、ではないこと。発信中心の部署や、入力の負荷が軽い現場を選べば、道は開けます。応募の前に「受電か発信か」「入力はどの程度か」を確認しておくと、入ってからのギャップが減ります。どの程度の操作ができれば通用するのかは、60代に求められるパソコンスキルの記事で具体的に整理しています。

この会社の場合の分かれ道 電話で話しながら、 同時に入力できる? 話しながら入力できる 受電(受信) お客様の電話を受ける。 話しながら入力します。 事務経験が活きる。 同時入力が苦手なら 発信 こちらから架電。 同時入力は少なめ。 ここから始める道も。 ※どちらも入口。合う方から始められます

働いてよかったこと・きつかったこと

体験談

お金のために始めた仕事ですが、思わぬ副産物がありました。友達ができたんです。若い方も多い職場で、娘くらいの年の子とも仲良くなって、一緒に食事に行ったり。子どもが独立して少し寂しかったので、これは嬉しい誤算でした。

人が多い職場なので、陰口のようなものが耳に入ることもあります。でも、気の合う人とだけ付き合うようにしています。この年になると、そういうかわし方には慣れているつもりです(笑)。

きついのは、受電のクレームですね。最初は対応に時間がかかって、お客様を怒らせてしまうこともありました。すでに相手が怒っている状態だと、パニックにもなりました。ただ、現場の社員さんがフォローしてくれたので、安心感はありました。合間に発信をすることもありますが、覚えてしまえば慣れます。仕事だから大変で当たり前、と思っています(笑)。

採用担当より

「仕事だから大変で当たり前」。この構えができている方は、まず定着します。クレーム対応の不安はほぼ全員が口にしますが、ヒロコさんのように、社員のフォロー体制がある現場を選べているのが大きい。ここは職場選びで確かめたい点です。

そして「仲間ができた」。収入のために始めて、居場所を得て続ける。私が現場で何度も見てきた、シニアがコールセンターで長く働く一番の理由が、まさにこれです。

お金とシフト|「年収の壁」と付き合う

体験談

週4日、1日4〜5時間で、月10〜12万円くらいです。年末が近づくと、いわゆる「年収の壁」を気にしないといけないので、そこは会社と相談しながらシフトを決めています。だから年末は、私の出勤は少なめ。ちょうど夫も年末年始が休みですし、お正月はなにかと用事があるので、私にとっては都合がいいんです。

採用担当より

扶養の範囲で働く方にとって、「年収の壁」を意識したシフト調整は避けて通れません。ヒロコさんのように、会社と相談しながら年末の勤務を調整できる職場かどうかは、働きやすさに直結します。応募のときに「扶養内で調整できますか」と一言確認しておくと安心です。

なお、壁の金額や仕組みは制度で変わることがあります。ご自身に当てはまる最新の条件は、お勤め先やお住まいの窓口で確認するのが確実です。ここでは「相談してシフトを調整できる職場を選ぶ」という視点だけ、持っておいてください。

これから始める人へ

体験談

コールセンターは、一度入ってしまえば慣れます。もし職場の雰囲気が合わなくても、大阪なら転職先はたくさんあります。地域によって求人の多い少ないはあると思いますが、体力の負担が少ないのは、この年代には本当に働きやすいですよ。

採用担当より

「合わなければ変えればいい」と言えるのは、選択肢が多い職種だからこそ。コールセンターは求人の母数が大きく、一度経験すると次が見つけやすい。最初の一歩のハードルが低く、やり直しもきく。シニアが挑戦する仕事として、私が勧める理由は、まさにここにあります。

もちろん、電話の仕事が全員に合うわけではありません。体を動かすほうが性に合う方、近所で短時間だけ働きたい方には、別の道があります。定年後の働き方をひととおり見渡したガイドも用意しているので、比べたうえで選んでください。

未経験・60代でも、コールセンターで採用されますか?

採用されます。コールセンターはシニアの未経験採用が多い職種です。スキルよりも、シフトの安定性や、わからないことを素直に聞ける姿勢が重視されます。今回のヒロコさんも、事務経験はあったものの、コールセンター自体は未経験からのスタートでした。

受電と発信、どちらがシニア向きですか?

会話しながらの入力が苦手な方は、発信のほうが負担が少ない傾向があります。受電は“話しながら打つ”同時作業が求められるためです。得意な方は受電でも問題ありません。応募の前に「受電か発信か」「入力はどの程度必要か」を確認しておくと、入ってからのギャップを避けられます。

扶養の範囲で働けますか?

週数日・短時間の求人が多く、扶養の範囲で働くことは十分可能です。年末は「年収の壁」を意識してシフトを調整する方が多いため、相談しながら勤務を決められる職場を選ぶと安心です。壁の金額や条件は制度で変わることがあるので、最新の情報はお勤め先や窓口でご確認ください。

◯ この記事のまとめ

  • 「扶養内・年金に手をつけたくない」は、面接でも通る現実的な動機
  • 面接はスキルより「働き方の答え合わせ」。曜日・時間・扶養を整理しておく
  • 受電は“話しながら入力”が壁。苦手なら発信という道もある
  • 続く理由は、仲間と居場所。クレームはフォロー体制のある職場を選ぶ
  • 年末は「年収の壁」でシフト相談。融通のきく職場が働きやすい

実体験ラボでは、50代以上の方の仕事体験談を募集しています。お話を聞かせてくださる方はお問い合わせフォームからご連絡ください。掲載の範囲やお名前の扱いは体験談の掲載に関する規約をご覧いただけます。

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著者:ぐっさん|シニア採用責任者

EDITOR IN CHIEF

アパレル副店長を経て通販支援会社へ転職。シニア採用に振り切った戦略で、上場企業の採用戦略に貢献(2024年)。5年間で延べ500名以上のシニアの採用に携わり、延べ3,000名以上と面談してきました。現在は360名規模の組織で労務マネージャー兼採用担当。

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