「働きたいけど、雇ってくれる場所がない」
そんな声を、これまで数えきれないほど聞いてきました。50代というシニア目前の世代に始まり、60代~70代の現役シニアの方々を毎日のように面接し、一緒に働いています。中には10年以上同じ職場で勤め続ける方もいます。
このサイトを立ち上げたのは、シニアの皆さんに「採用する側の本音」を届けたかったからです。綺麗事ではなく、現場で見てきたすべてを、これから仕事を探すあなたに。
採用する側から、採用される側へ
このメディアのコンセプトは、ひとつに集約されます。
採用する側の本音を知っている人間が、採用される側のために書く。
世の中には、シニア向けの仕事情報サイトが数多くあります。しかしその多くは、求人を並べるだけ、あるいは表面的なマナー論で終わっています。当たり障りのない綺麗な話であふれてますよね。しかし面接で採用担当が本当に見ているところ、落とす人の共通点、受かる人の共通点。それらは、実際に採用の決裁をする人間にしか語れません。
採用責任者として、5年間で3,000名以上のシニアの方々と対面で向き合ってきました。採用もお断りも、どちらもたくさん経験しました。その中で見えてきた「真実」を、求職者側に立って言葉にする。それがこのサイトの役割です。
◯ このサイトが伝えたいこと
面接で採用担当が本当に見ているのは、経歴でも年齢でもありません。現場で何百回と確認してきた、本当の判断軸をお伝えします。
アパレル副店長から採用責任者へ——キャリアの流れ
株式会社シップスでの8年間——「人を見る目」の原点
キャリアは、セレクトショップ「SHIPS(株式会社シップス)」から始まりました。メンズのカジュアルからドレス、レディスまでオールジャンルを担当し、最終的にはレディス部門の副店長を務めました。メンズ・レディス両方を経験するのは業界でも稀なキャリアだと思います。
SHIPSは比較的高単価な価格帯のお店で、接客する相手は若い方から年齢を重ねた上品な大人の方まで幅広い層でした。年齢を重ねた方の立ち居振る舞い、言葉選び、品格に日々触れる日々でした。
この時期に培った「人を見る目」と「年齢を重ねた方への自然な敬意」は、今のシニア採用活動の原点になっています。お店のお客様を見ていたように、面接に来てくださる方一人ひとりをフラットに見る——その習慣はアパレル時代に身についたものです。
2019年、通販支援会社へ転職
2019年、給与面と広告通販業界への興味から、通販支援事業を展開する会社へ転職しました。
しかし、入社してみて驚きました。会社のホームページはわかりにくく、面接でも詳しい業務説明があまりなかったのですが、実際に入ってみると「がっつりコールセンター」業務が中心だったのです。面接のときもふわっとしてたので、ギャップを強く感じました。
今思えばこの時の戸惑いが、採用哲学の原点になりました。
シニア採用に振り切った決断
入社後、採用責任者として複数職種・複数センターの運営に関わる中で、ひとつの決断をしました。
シニア採用に全振りする。
当時、社内にも一定数のシニアスタッフがいましたが、一部では「センターを若返らせたい」という声もありました。しかし、若年層を採用するには他社と札束の殴り合いをする必要があり、採用予算や時給設定では現実的ではありませんでした。実際に取り組んでは見たものの、定着や育成に悩みかなりの時間とコストを費やした割に、期待したリターンは得られませんでした。
一方、シニアの方々は採用コスト面でも、定着率の面でも圧倒的な結果を出せる。そう判断して、戦略を一気にシニア採用へ振り切りました。結果、2024年には会社の上場にも貢献することができました。成長していく会社に負けないように、私自身も次のステージを狙っています。
現場で教えられたこと
コロナ禍に残ってくれた人たちへの感謝
採用責任者として数えきれないほどのシニアの方々と向き合ってきた中で、価値観を大きく変えた出来事がいくつかあります。
ひとつは、コロナ禍の経験です。
「シニアは定着する」という言葉は、採用業界で昔から言われてきました。しかし、それを肌で実感したのは、このコロナ禍の時でした。愛社精神、責任感、仲間への想い。若年層にはなかなか見られない「芯の強さ」を、シニアの皆さんは持っています。
最後まで働き続けた方々から教わったこと
仕事を通しての関わりしか見えないので、ご本人の私生活の全てはわかりません。でも、長期入院で離脱した方、その後の消息がわからなくなった方、中には在籍中に…という方もいらっしゃいます。
体調が悪い中、「娘に迷惑をかけたくない」と言って最後まで働き続けた方。子を想いながら、最期まで職場に立ち続けた方。そんな姿を、何度も目の当たりにしてきました。
親が年齢を重ねても働いている姿は、きっと子供にとっては安心感になります。孫にとっても「いつまでも元気なおじいちゃん、おばあちゃん」として、記憶に残るはずです。
辞めた方と街で偶然お会いすることもあります。中には、驚くほど老け込んでしまった方もいました。
◯ 働くことの意味
働くことは辛いことも多いけれど、人とつながり得るものも大きい。これはシニアの皆さんから教えられたことです。
採用面接で、本当に見ているもの
多くのシニアの方に面接でお会いする中で、採用される方・残念ながらお断りする方には、明確な違いがあることが見えてきました。それは、経歴でも年齢でもありません。
見ているのは「挨拶」と「謙虚さ」
採用する・しないの判断で、最初に見ているポイントを、正直にお伝えします。
それは、挨拶と謙虚さです。これに尽きます。
シニアの方の面接になると、どうしてもこの部分がおろそかになる傾向があります。「年上だから」「経験があるから」という意識が、無意識のうちに態度に出てしまうのです。
受付のスタッフへの対応。電話での話し方。年下の面接官への姿勢。これらすべてで、人によって態度を変える方は、まず採用しません。その態度は、必ず現場にも出るからです。
「自分の子供が同じ目に遭っていたら」
現場での指導や面談の中で、時々スタッフにこんな問いかけをします。
会社は、年齢に関係なく成り立つ組織です。だからこそ、年下の受付・電話対応者・面接官に対しても、誠実に接してほしい。この想像力があるかどうかが、現場での適応力を決めます。
謙虚な人ほど、活躍する
特に男性に多いのですが、小さなプライドが邪魔をしてしまう方がいます。過去の役職、肩書き、経験へのこだわり。これらは現場では何の役にも立ちません。断言できます。
一方、謙虚に「新しい環境で学ばせてもらう」姿勢の方は、年齢に関係なく必ず活躍します。経験は土台として活きますが、自慢する道具にした瞬間に、現場から浮いてしまいます。
このサイトの編集方針
「シニアの暮らし案内所」は、採用責任者としての一次情報を核に、すべての記事を構成しています。情報の信頼性を担保するため、編集体制を以下のとおり明示します。
◯ 編集の前提
- 記事の主軸は、採用責任者として現場で得た一次情報です。
- 制度・法律・統計データは、公的機関の一次資料を参照し、出典を明記します。
- すべての記事は、採用責任者本人が現場の経験と一次情報に基づいて構成し、最終的な内容判断・公開可否を行っています。
一次情報にこだわる理由
採用の現場を知らない人間が書いた情報は、どれだけ整っていても薄い。そう感じてきました。
このサイトの記事はすべて、採用責任者として実際に現場で見てきたこと、面接で感じたこと、スタッフと向き合ってきた経験を起点にしています。制度・法律・統計データについては厚生労働省・総務省などの公的機関の一次資料を参照し、出典を明記しています。
記事のテーマ選定から主張の決定、公開可否の最終判断まで、すべて採用責任者本人が行っています。記事内容に誤りや古い情報を見つけられた場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。確認のうえ、速やかに訂正いたします。
最後に、シニアの皆さんへ
採用責任者として、そして一人のシニアと向き合ってきた人間として、最後にお伝えしたいことがあります。
年齢を重ねることは、素敵なことです。だけど、選択肢が減るのも事実です。仕事が決まらない方を、現場で何人も見てきました。
選ばなければ仕事は見つかります。でも、何を大切にするかによって、選べる道は変わります。だからこそ、このサイトで「採用する側の本音」を知り、ご自身の選択肢を広げてほしい。
◯ これから働く皆さんへ
- シニアは若い人に負けません。でも、自分に甘えず、勤怠はしっかり守る。
- 自分を「年寄り」と決めつけず、手を抜かないでほしい。
- 仕事も遊びも、全力で楽しんでほしい。
- 会社は、承認の場・居場所になります。家だけが居場所じゃない。
働くことは、生活のためだけではありません。誰かに貢献することで、自分の存在価値を感じる場所でもあります。いくつになっても、自分の居場所を持ち続けてほしい。
このサイトが、あなたの「これから」を見つける、小さな道しるべになれば幸いです。