「警備員は何歳から始められて、何歳まで働けるのか」——この問いに対して、採用担当として説明会で直接観察してきた答えは、60代からの未経験スタートは珍しくなく、80代でも現役で働いている人がいるというものです。定年がない会社も存在し、体力が続く限り働き続けられる職種として、警備は他の仕事と一線を画します。
ただし「体力さえあれば大丈夫」という話でもありません。何歳まで働けるかを決めるのは年齢よりも体調管理と働き方の選び方です。この記事で、始められる年齢から続けられる年齢までの実態を整理します。警備の全体像はシニア警備員の完全ガイドにまとめています。
警備員は何歳から始められるのか——60代・70代の未経験スタート
まず「何歳から」についてです。警備員は60代・70代からの未経験スタートが十分に可能な職種です。入社後に警備業法の新任研修(20時間以上)を会社が実施するため、応募時点で資格や経験は不要。採用担当として説明会を見てきた実感でも、60代で初めて警備に応募する方は「よくいる普通の応募者」です。
年齢の下限を心配する必要はほぼありません。むしろ警備業界は人手不足が慢性化しており、シニアの新規応募を歓迎する会社が大半です。「何歳からでは遅すぎる」という上限を気にするより、後述する「体力と働き方の選び方」を押さえるほうが重要です。
警備員に定年はあるのか——法律と現場の実態
法律上、警備員に一律の定年はありません。ただし各企業が就業規則で定年を設けることは認められています。実際には会社によって対応が大きく異なります。
採用担当として複数の警備会社の説明会に参加してきた経験から言うと、「定年なし」の会社が実際に存在します。そもそも定年なしという会社はあまり多くはないですが、警備業界では体力的に問題なければ高齢でも継続して働ける職場が見つかりやすい。他の多くの職種と比べると、年齢のハードルが低いカテゴリに入ります。
参考データ
警察庁「令和6年における警備業の概況」によると、警備員全体58万7,848人のうち70歳以上が全体の20.9%を占め、年齢層別で最大のグループです。60歳以上全体では46.9%。警備業は他の業種と比べ、高齢就労者の比率が極めて高い職種です。
説明会で見た80代の現役警備員
採用担当として参加した警備会社の説明会で、印象に残っている場面があります。来場していた求職者の中に80代の方がいて、「今も午前中だけ施設警備で働いている」と話していました。詳しい業務内容は聞けませんでしたが、短時間勤務で無理なく続けているという話でした。
これは特殊な例ではありません。警察庁のデータが示すように、70歳以上が警備員全体の約2割を占める業界です。体力と健康管理さえ伴えば、60代・70代で働き始めて長く続けることは十分に現実的です。
何歳まで続けられるかを決める3つの要素
身体を動かし続けることが老いへの抵抗になる
採用担当として多くのシニアと向き合ってきた中で感じることがあります。60歳を超えると、年齢の割に見た目や体力が大きく違う人が出てきます。同じ年齢でも、身体を動かし続けている人とそうでない人では、体力の差が如実に表れる。警備員として現場で動き続けているシニアは、周りの同年代と比べて体力が落ちにくいという話を複数人から聞いています。
短時間勤務で「無理のない働き方」に切り替えられる
説明会で見た80代の方のように、午前中だけの短時間勤務という働き方が警備では成立します。フルタイムで入れなくなっても、週3日・4時間だけという形に切り替えながら続けられる職種は多くありません。警備はそれができる。この柔軟性が、長く働き続けられる理由のひとつです。無理なく続ける具体策は警備員はきつい?楽?日勤のみの選び方でも解説しています。
定年後に警備を選ぶ人が増えている理由——他の仕事との現実的な比較
60歳を超えてから仕事を探すと、現実的な選択肢がかなり絞られます。正社員での再就職は難しく、派遣・パートでも「年齢不問」と書いてある求人でも実際は若い人が優先されるケースが少なくない。採用担当として、定年後に仕事を探して警備の説明会に来るシニアを多く見てきましたが、その背景にはこの「他に選択肢がない」という現実があります。
ただし、消去法で選ぶというよりも、警備には定年後の働き方として積極的に選ぶ理由があると感じています。主なものを整理します。
| 比較軸 | 警備 | 一般的なパート・アルバイト |
|---|---|---|
| 年齢上限 | 定年なしの会社あり・70代も多数在籍 | 実質60代前半が上限になるケース多い |
| 資格・スキル | 基本的に不要。礼儀があれば応募できる | 職種によりIT・専門スキルが求められる |
| シフト柔軟性 | 短時間・週3日など条件交渉しやすい | シフトが固定されているケースも多い |
| 体力的負担 | 施設警備は低め・交通誘導は高め | 職種による。立ち仕事・重労働もある |
| 社会とのつながり | 対面仕事で人と接する機会が多い | 在宅・倉庫系は接触が少ない場合も |
警備を選ぶ最大の理由は「年齢のハードルが他の職種より低く、体力が続く限り長く働ける」という点です。特に施設警備は屋内・資格不要・短時間勤務対応と、定年後の働き方として条件が揃っています。
60代・70代・80代——年代別のリアルな働き方
「何歳まで働けるか」という問いへの答えは、年代によって少し変わります。採用担当として見てきた範囲での実態を整理します。
60代前半(60〜64歳)
体力的には最も働ける時期です。施設警備・交通誘導のどちらも選択肢に入り、フルタイムに近いシフトも組める人が多い。ただしこの時期に自分の体力の限界と、続けやすい業務・シフトの組み合わせを把握しておくことが、70代まで続けるための準備になります。
60代後半(65〜69歳)
体力の変化を感じ始める人が増える時期。この頃から施設警備中心・週3〜4日・日勤のみという働き方に切り替えるシニアが多い。交通誘導を続けている人もいますが、夏場の体調管理には特に注意が必要になる。年金受給との組み合わせで収入設計を見直す人も多く、週2〜3日の短時間勤務に移行するケースも見られます。
70代以降
警察庁データでは70歳以上が警備員全体の20.9%。これは比率として他の職種と比べると明らかに高く、70代で現役というのは警備業界では珍しくないことを示しています。採用担当として説明会で見た80代の方のように、午前中だけの短時間勤務という形で長く続けているケースもある。体力の変化に合わせて条件を調整できるかどうかが、この年代での継続の鍵です。
「体力年齢」は暦年齢と違う——警備が老いに負けにくい理由
採用担当として多くのシニアと向き合ってきた中で、強く感じることがあります。60歳を超えると、同じ年齢でも体力・見た目の差が極端に開いてきます。「この人は70代に見えない」という人もいれば、「まだ60代なのに…」という人もいる。
その差を分けるのは何かというと、身体を動かし続けているかどうかです。警備の仕事は、日々身体を動かす理由を強制的に作ってくれます。これはデスクワークや在宅の仕事にはない特性です。
採用担当として警備員の面接や説明会を通じて聞いてきた話の中に、「警備を始めてから体が軽くなった」「同じ年齢の友人よりへばらない」という声が複数あります。仕事として身体を動かすことが、結果として健康寿命を延ばす方向に作用している可能性があります。
仕事を辞めた瞬間に急激な老いが来る——これは複数のシニアから聞いた言葉です。逆に言えば、働き続けることが老いへの最大の抵抗になります。警備という仕事が、その手段として機能しているケースは少なくありません。
辞めどきをどう判断するか
長く続けることを前提にしながらも、辞めどきの判断も大切です。採用担当として多くのシニアと話してきた経験から、ひとつ伝えたいことがあります。
仕事を辞めた瞬間に、急激な老いが襲ってくる——これは複数のシニアから聞いた言葉です。「退職してから一気に老けた」「動かなくなったら体がどんどん重くなった」。仕事が身体を動かす理由になっていた人ほど、働くことをやめた後の変化が大きい。
だから判断軸はシンプルです。体調に違和感を感じる・家族が心配になるレベルなら辞める。自分がまだいけると思えるなら続ける。会社が受け入れてくれる限りは、続ける選択をしたほうがいい——これが採用担当として現場で見てきた実感です。
辞めどきを考えるときのチェックリスト
- シフト当日に「今日は行けない」という日が続いていないか
- 通勤・業務中に身体の違和感(めまい・息切れ・関節痛)が増えていないか
- 家族から「無理しないで」と言われる頻度が増えていないか
- 「仕事を続けたい理由」がまだ自分の中にあるか
- 医師から業務制限を勧められていないか
まとめ
この記事のまとめ
- 警備員は60代・70代の未経験からでも始められる。資格・経験は不要で入社後に法定研修がある
- 法律上の一律定年はなく、定年なしの会社も実在する。70歳以上が全体の約21%と業種別で最大(警察庁令和6年)
- 採用担当として説明会で80代の現役警備員を直接観察。午前中の短時間勤務で無理なく続けていた
- 60代前半はフルタイムも可能。60代後半から施設警備・週3〜4日・日勤中心に切り替えるパターンが多い。70代以降も短時間勤務で継続できる
- 身体を動かし続けることが老いへの抵抗になる。警備は仕事として動く理由を作ってくれる職種
- 辞めどきは体調と家族の心配が判断軸。問題がなければ続ける選択が正解
よくある質問
警備員は何歳から始められますか?
60代・70代の未経験からでも始められます。応募時点で資格や経験は不要で、入社後に警備業法で定められた新任研修(20時間以上)を会社が実施します。業界全体が人手不足のため、シニアの新規応募を歓迎する会社が大半です。年齢の下限を心配する必要はほぼありません。
警備員は何歳まで働けますか?
明確な上限はありません。法律上の一律定年はなく、定年なしの会社も実在します。警察庁データでは70歳以上が警備員全体の20.9%と最大の年齢層で、説明会では80代の現役警備員にも会っています。午前中だけの短時間勤務など、体力に合わせて条件を調整すれば長く続けられます。
70代・80代でも新しく警備員に採用されますか?
会社によります。定年規定のある会社では新規採用が難しい場合もありますが、定年なしの会社や短時間勤務の現場では70代の新規採用も現実にあります。気になる求人があれば「◯歳ですが応募できますか」と事前に電話で確認するのが確実です。体調管理ができていることが伝われば、年齢だけで断られるケースは多くありません。
長く続けるにはどの業務・働き方を選べばいいですか?
屋内中心で天候の影響を受けにくい施設警備を、週3〜4日・日勤中心で選ぶのが、長く続けるための現実解です。交通誘導は屋外・熱中症リスクがあるため、体力の変化を感じたら施設警備や短時間勤務へ切り替えるシニアが多いです。詳しくは警備員はきつい?楽?日勤のみの選び方で解説しています。

