シニア向けの合同説明会では、警備・マンション管理・コールセンター・清掃など、複数業種のブースが同じ会場に並びます。私は採用担当として、自社のブースに立ちながら、隣の警備ブースの様子を何度も間近で観察してきました。
そこで見えてきたのは、警備の説明会で起きていることは「想像とかなり違う」ということです。マンション管理の倍以上の来場者、なぜか全員びしっとしている警備会社の担当者、そして「自分のイメージだけで来て、調べてこない」応募者たち。この記事では、隣で見てきた立場から、警備の説明会のリアルを正直に書きます。
警備の説明会は、ほかの業種より圧倒的に人が来る
まず体感としてお伝えしたいのが、警備ブースの来場者数です。マンション管理や清掃のブースと比較して、警備のブースには圧倒的に多くの人が集まります。私の体感では、マンション管理の倍以上は来ています。
これは「警備という仕事が分かりやすい」からだと思います。テレビでも見たことがある、街中でも見たことがある、「立っているだけに見える」「自分にもできそうに見える」——こうしたイメージが共有されているため、詳細を聞きに行こうとする人が多い。とくに男性は、警備ブースに足を運ぶ率が高いです。
来場者の年齢層は意外と広い
シニアだけかというと、そうでもありません。社員採用まで含めた説明会だと、20代・30代の若い男性も警備ブースに立ち寄ります。これは交通誘導や雑踏警備など、体力勝負の業務を視野に入れた応募者でしょう。一方で60代・70代のシニアも多く、年齢層は20〜70代までかなり幅広いのが警備ブースの特徴です。
「スーツ・ビジネスマナー系」は警備ブースには少ない
これも観察してきたなかで興味深かった点です。説明会会場では、きちんとスーツを着てビジネスマナーがしっかりしている、いわゆるホワイトカラー的な雰囲気の男性も来場します。けれど、彼らが警備ブースに足を運ぶことはあまり多くありません。むしろコールセンターや事務、施設管理のブースに集まる傾向があります。
警備ブースに集まるのは、現場仕事の経験がある人、製造業出身の人、運送業から流れてきた人、そしてパソコン作業に苦手意識を持つ人。「身体を使う仕事」のイメージが強いため、自然と来場者層が決まってきます。
警備会社の担当者は、なぜか全員「びしっとしている」
もうひとつ、隣で観察していて毎回感心するのが、警備会社の説明会担当者です。大手・中堅・地場、規模を問わず、警備会社から来る担当者は全員びしっとしています。背筋が伸びていて、制服がパリッとしていて、挨拶も明瞭。これは偶然ではなく、警備業の文化そのものだと思います。
びしっとした担当者が意味すること
応募者の立場で考えてみてください。説明会で会う担当者は、その会社の「顔」です。そこから受ける印象は、入社後の現場の雰囲気とも繋がっています。警備会社の担当者がびしっとしているのは、現場でも礼儀と規律を重視しているということです。
逆に言えば、応募者の側にも同じレベルの礼儀が求められます。挨拶ができない、姿勢が悪い、敬語が崩れる、こうした応募者は、いくらシニアでも採用側の評価が下がります。担当者がびしっとしている業界に応募するなら、自分もそれに見合った姿勢で臨むべきだということです。
大手警備会社と中堅・地場の説明会、何が違うか
説明会に出てくる警備会社は、大手・中堅・地場とさまざまです。隣で見ていて、それぞれにスタンスの違いがあることが分かりました。応募する側はこの違いを知っておいたほうがいいと思うので、整理しておきます。
大手は「会社」を見せる、中堅・地場は「現場」を見せる
大手警備会社の説明会は、会社のブランド・社史・規模・上場情報・福利厚生といった「会社の格」を伝えるスタイルが目立ちます。プレゼン資料も洗練されていて、「うちは安心して長く働ける会社です」というメッセージが前面に出ています。
一方、中堅・地場の警備会社は、現場の話・実際の業務内容・現場で働いている人の声を伝えるスタイルが多いです。プレゼン資料はシンプルでも、担当者が自分の言葉で熱心に話す姿が印象的です。
FIG.1 大手と中堅・地場、それぞれの説明会スタイル
応募者として、両方を聞いておくと判断しやすい
どちらが優れているという話ではありません。大手には大手の安心感、中堅・地場には現場との近さがあります。応募する側として大事なのは、大手の説明会で「会社のいい部分」を聞いたら、現場の泥臭さ・人間関係・きつさは別の機会に自分で確認することです。「上場企業だから大丈夫」と思い込んで入社すると、配属された現場の実態とのギャップに苦しむことになります。
女性責任者が説明会に立つ、本当の理由
もうひとつ、警備の説明会で特徴的な現象があります。それは「女性責任者が登壇する説明会」が増えていることです。これには明確な戦略があります。
イメージギャップを埋めるための戦略
警備の説明会で女性の責任者が登壇すると、来場者の警戒心が一気に和らぎます。「警備=強面の男性」というイメージを、「女性も働ける業界」というメッセージに切り替える効果があるからです。これは経営・採用戦略として理にかなっています。
また、男性の来場者には別の効果もあります。正直に言うと、強面の中年責任者が立っているブースより、女性の担当者がいるブースのほうが人が集まりやすい。これは説明会の現場で何度も確認してきた事実です。
応募者は「入口戦略」と「現場の実態」を分けて考える
女性責任者が登壇していても、それは「説明会の入口」での戦略であって、現場の実態を保証するものではありません。応募者として大事なのは、ここで割り切ることです。説明会では女性責任者から好印象を受けたとしても、「実際の現場には女性警備員は何人いるか」「女性が働きやすい配属先はあるか」を、面接や別の機会に確認してください。これは聞いていい質問です。
説明会で「採れる人」と「採れない人」の差
ここまで、説明会の景色を客観的に描いてきました。最後に、私が隣で見てきた立場として「採れる人」と「採れない人」の差を、隠さずに書きます。これが実は、この記事でいちばん大事な部分です。
来場者の8割は「自分のイメージだけで来て、調べてこない」
これは警備の説明会で繰り返し見てきた現象です。説明会に来る人のほとんどは、警備という仕事を自分のイメージだけで考えていて、事前にほとんど何も調べていません。「分かりやすそうだから来た」「家から近いから」「定年したから何でもいいから」——こうした動機で説明会に来る方が、来場者の大半を占めます。
「採れる人」は事前に調べてきている
採用される側で印象に残っているのは、定年前から次の仕事を準備して説明会に来ていた方々です。彼らは「警備の業務には4種類あると聞いてきましたが、シニアに向いているのはどれですか」「研修期間は何日くらいですか」「夜勤がある現場とない現場の比率はどれくらいですか」と、的を絞った質問をしてきます。
こうした応募者には、警備会社の担当者も身を乗り出して答えます。「この人は本気で考えている」と分かるからです。私は採用担当として、こうした準備をしてきた応募者を、他業種でも何度も採用してきました。だいたい優秀で、入社後も長く続きます。
「年齢の甘え」は説明会の段階から見抜かれる
逆に、警備会社の担当者が警戒している応募者像も明確です。説明会の控室で同席した警備会社の方が、何度も口にしていたフレーズがあります。それは「シニア採用で企業側が不安なのはシフト順守。体調・家族(介護)が多いけれど、年齢をたてにした『甘え』も多い」というものです。
「もう年だから細かいことは難しいよね」「この年でこれは厳しいんじゃないの」——こうした発言を説明会の段階で口にする応募者は、現場でも同じ姿勢になります。担当者はそれを見抜いて、面接の対象から外していきます。
FIG.2 説明会の段階で「採れる人」「採れない人」の差はもう出ている
説明会に行く前にやっておきたい3つの準備
ここまで読んでいただいた方は、もう自分が「事前に調べてきている上位2割」に入っていると言えます。さらに準備の精度を上げるための、3つのアドバイスを最後に書きます。
説明会前にやっておきたい3つの準備
- 業務の4種類を頭に入れておく——施設警備・交通誘導・運搬警備・身辺警護。シニアが現実的に応募できる業務はどれか、自分なりの仮説を持つ
- 自分のシフト可能時間を整理しておく——夜勤可否・夕方以降の可否・週何日働けるか。これが明確だと、担当者の質問にすぐ答えられる
- 「なぜ警備員を選んだのか」を1分で語れるようにしておく——「なんとなく」「家から近い」だけでは弱い。働く理由と警備への興味の両方を、自分の言葉で整理する
この3つを準備していくだけで、説明会の担当者から「この人は本気だな」と思ってもらえます。担当者もより踏み込んだ情報を提供してくれます。説明会は、応募者と企業の最初の接点です。準備の差がそのまま、その後の面接・採用結果に響いてきます。
説明会で警備会社の担当者がびしっとしているのは、応募者側にも同じレベルの姿勢を期待しているからです。それに応える準備をして臨んでください。警備員の面接で見られているポイントは、警備員の面接——採用担当が見ている合否の分かれ目でも詳しく書いていますので、あわせて参考にしてください。
まとめ——説明会は採用プロセスの「ゼロ次面接」
この記事のまとめ
- 警備の説明会は他業種より圧倒的に来場者が多い(マンション管理の倍以上)
- 警備会社の担当者は大手も中堅・地場も全員びしっとしている
- 大手は会社ブランド主体・中堅地場は現場主体——両方の特徴を理解しておく
- 女性責任者の登壇は「敷居を下げて応募者を集める」入口戦略
- 説明会に来る人の8割は事前リサーチをしてこない
- 採れる人は事前に調べて、具体的な質問ができる上位2割
- 「年齢の甘え」は説明会の段階で見抜かれて、面接対象から外される
- 3つの準備(業務4種類・シフト・志望理由)を整えて臨むだけで上位に入れる
説明会は、就職活動の最初の「ゼロ次面接」だと考えてください。担当者は応募者を観察していますし、応募者の側も会社を観察できる場です。両方が情報を交換する貴重な機会を、「なんとなく」で消費するのはもったいない。
準備して臨めば、説明会の段階から差がつきます。そして、隣で見てきた立場として保証しますが、準備してきた応募者は採用担当の目に必ず留まります。あなたが警備員として働きたい気持ちがあるなら、この3つの準備だけは整えて、説明会に向かってください。
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