IT苦手なシニアに向いている仕事——「苦手です」で終わらせない、採用担当の本音

IT苦手なシニアに向いている仕事。採用担当が語る「苦手です、で何した?」の本音 仕事ラボ

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ぐっさん|シニア採用責任者

  • シニア採用責任者として複数職種・複数センターの採用を管轄
  • 採用単価60%削減・年間140名採用実績
  • 年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた

「パソコンが苦手です」——面接でそう言ったとき、採用担当はどう思うのか。気になっている方は多いはずです。

この記事では、年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた採用担当の視点から、IT苦手を正直に言うと何が起きるか、苦手でも採用される仕事はどれか、そして「食わず嫌い」がなぜ損なのかを一次情報でお伝えします。

総務省の調査によると、60代のインターネット利用率は85.2%に達する一方、70代は59.5%にとどまっています(令和5年版情報通信白書)。つまり70代の約4割はインターネットをほぼ使っていない計算になります。「自分だけではない」と感じる方も多いでしょう。ただ、採用担当の視点から言うと、この数字は「安心材料」ではなく「現実の壁」です。だからこそ、どの仕事が向いているかを正確に知っておくことが重要になります。

「IT苦手です」は採用に影響するか——採用担当の正直な答え

「パソコンは苦手です」「スマホも使いこなせていません」と面接で話すシニアの方は、実際にたくさんいます。では採用担当は、その言葉を聞いてどう判断しているのか。

結論から言います。苦手であること自体は、大きな問題ではありません。問題は、その後です。

採用担当からひとこと
「苦手です→だから何した?
スマホ使えない→だからどうしてる?」
COMMENT 子どもでもすぐ覚えられることを「できない」「苦手」で終わらせる人は、仕事でも学ばない。世の中がこれだけのスピードで進化しているのに、ちょっとの努力でできることすら変えようとしない人に任せられる仕事は正直ない。でも——「苦手だから、こんな勉強を始めた」「アレルギーがあったけど、娘に教わって少し使えるようになった」。そう言える人はめちゃくちゃ評価します。できないことにどう向き合っているかが、全てです。

つまり採用担当が見ているのは、「苦手かどうか」ではなく、「苦手に対してどんな姿勢をとっているか」です。苦手を認めたうえで何かアクションをとっている人は、むしろ好印象です。

逆に危ういのは、「苦手です」と言い切って、そこで話が終わる場合。採用担当の頭の中には「じゃあ何もしてないんだ」という印象が残ります。姿勢の問題として見られてしまうのです。

「使えます」と言って使えない——採用担当が一番困るパターン

IT苦手よりもずっと深刻な問題があります。

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「PCが使えます」と言って全然使えない

パソコンを使えますか?という確認に「使えます」と答えて入社したにもかかわらず、実際にはマウス操作もままならない——これが採用担当として一番困るパターンです。「PC教室ではないので電源の入れ方やマウス操作を一から教えるのには限界がある」というのが現場の本音。入社後のミスマッチは、求職者本人にとっても職場にとっても不幸な結果になります。

「苦手です」と正直に言うのは、勇気がいることかもしれません。でも採用担当の立場から言えば、正直に言ってくれたほうがずっと助かります。苦手の度合いに合わせて仕事を調整したり、入社後のフォロー体制を整えたりできるからです。

職種によっては、簡単なマウス操作と文字入力ができれば十分なものもあります。「電源が入れられる」「画面を見てクリックできる」、そのレベルで採用している現場も実際にあります。

面接でのベストな伝え方

「パソコンは得意ではありませんが、メールの確認とマウス操作は問題なくできます。タイピングは遅いですが、今練習中です」——このように、できることとできないことを具体的に分けて伝えるのが一番評価されます。「苦手です」の一言で終わらせないことが大事です。

IT苦手なシニアに採用担当が勧める仕事

では実際のところ、IT苦手を自認しているシニアにはどんな仕事が向いているのか。採用担当として複数職種の採用を管轄してきた経験から、正直にお伝えします。

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IT苦手シニアの仕事選び:採用担当の本音 ◎ ITとの直結が少ない仕事 ・警備員(施設警備・交通誘導) ・清掃スタッフ ・軽作業・梱包 ・配達補助 △ DX化が進んでいる仕事 ・マンション管理員(Web連絡・給与明細確認あり) ・一般事務・内勤系(システム操作が必須になりがち) ✕ PC・スマホ操作が前提の仕事 ・コールセンター(専用システム入力が必須) ・テレワーク・データ入力 ・受付(PC常用)

採用担当が見た「IT苦手シニアの仕事選び」目安。職場によって異なります。

警備員——業務の中心は体。ただし「ITアレルギー層が流れる仕事」でもある

採用担当として複数職種を管轄してきた経験から言うと、警備は体を使う仕事なので、業務そのものとITが直結しにくいです。施設の見回り、来訪者の誘導、交通誘導など、動くことが仕事の中心です。報告書を書く場面はありますが、難しい操作は基本的に不要です。

実際、ITにアレルギーがある方は警備や清掃に流れる傾向があると、採用の現場でも観察しています。それだけ「ITが苦手でも入りやすい」というイメージが定着しているのでしょう。ただし施設警備ではテナントや来訪者との最低限のコミュニケーション能力は必要で、「誰とも話さなくていい仕事」ではありません。

清掃スタッフ——現場は今、静かに進化している

清掃の仕事は道具と体が主役で、パソコンを日常的に使う場面はほとんどありません。ただ、大規模施設や法人向けの清掃現場では、テクノロジーの導入が静かに進んでいます。

たとえば、スタッフがゴーグル型のデバイスを装着し、視線の先のレンズに作業指示が表示されるシステムがすでに実用化されています。遠隔地の管理者がカメラ越しに現場の状況を確認しながら指示を出す、という仕組みも広がりつつあります。もともとは障害者雇用の現場で導入が始まったもので、「言葉で説明しにくい作業」をビジュアルでサポートする目的がありました。

もちろん、こうした最先端の現場はまだ一部です。多くの清掃スタッフの仕事は今もアナログが中心です。ただ「清掃はずっとIT無縁」とも言い切れない時代に入っていることは、頭に入れておくとよいでしょう。

軽作業・ピッキング・梱包——ハンディ端末は「必ず使う」

軽作業・ピッキング・梱包の仕事は、パソコン操作は基本的に不要です。ただしバーコードスキャンやハンディターミナル(手持ちの小型端末)は、ほぼ必ずと言っていいほど使います。

「パソコンではない」とはいえ、機械を操作することには変わりません。「ボタンを押す」「画面を見て確認する」という最低限の操作を覚えていく必要があります。難しい操作ではなく、慣れれば問題ないレベルです。「機械全般が怖い」という方には、最初の1〜2週間が壁になることがあります。

IT苦手でも問題になりにくい仕事の特徴

  • 業務の主体が「体を動かすこと」である(警備・交通誘導・配達など)
  • 記録・報告が紙ベースで行われている職場が多い
  • 専用端末があっても、操作がシンプルなタッチ・スキャン操作にとどまる
  • スタッフ同士の連絡が口頭・電話で完結できる
  • 「慣れれば覚えられる」レベルの機器操作で完結する

内勤・事務系は思ったよりDXが進んでいる

一方、内勤系の仕事はどこかしらでDXが進んでいます。たとえばマンション管理員でも、給与明細をウェブで確認する、管理会社とメールでやりとりするといったことが当たり前になっています。「内勤だからITは使わないだろう」という思い込みは危険です。

コールセンターについては、専用のシステム(CTI:電話とパソコンを連動させる仕組み)を使うことが前提です。マウス操作と簡単な文字入力ができれば対応できる現場も増えていますが、まったくITが触れない状態では難しいのが実情です。

「食わず嫌い」が社会との断絶になる——採用担当の本音

「パソコンは一切触れません」「スマホも持っていません」——そういう方が面接に来ることがあります。採用担当としてその言葉を聞いたとき、正直に言えばこう思います。

採用担当からひとこと
「知らないから怖い。怖いから否定する。世の中のスタンダード、インフラの否定って、社会との断絶だよね。そりゃ求められることなくなるよ、と思う」
COMMENT ほとんどの場合が「食わず嫌い」なんです。最低でも簡単な文字入力(スピードは求めない)ぐらいはできたほうがいい。それができるだけでPCへのアレルギーもなくなってくる。「触ったことがないから怖い」の壁を一つ越えると、世界がかなり変わります。

少し厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは60代・70代の方を批判したいわけではありません。むしろ逆です。「ちょっと触ってみる」だけで、仕事の選択肢がぐっと広がる——それを伝えたいのです。

まず「触れる場所」を探してみる

パソコンに慣れていない方に勧めたいのは、いきなりタイピング練習ではなく、まず画面を触ってみることです。

PCアレルギーを和らげるための小さな一歩

  • 地域の公民館・図書館が開催している「シニア向けPC講座」に参加してみる(多くは無料)
  • スマホを持っている場合は、LINEやYouTubeを少し使い込んでみる
  • 家族や知人に「マウスの動かし方だけ教えて」と頼んでみる
  • ハローワークの「パソコン活用セミナー」を利用する(無料・全国開催)

タイピングのスピードを上げる必要はありません。「触れる・動かせる」という感覚を得るだけで、採用担当への印象は変わります。そして何より、自分自身の仕事の選択肢が増えます。

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「苦手です」の先にある2つの道 「苦手です」で終わる人 採用担当の印象: 「何もしていない」 選択肢が狭まる 社会との距離が広がる → 求められにくくなる 「だから〇〇した」人 採用担当の印象: 「向き合っている」 選択肢が広がる どんな仕事でも学べる → 採用される人になる

同じ「苦手」でも、姿勢の違いで採用結果が変わります。

よくある質問

IT苦手でも、警備やマンション管理員なら本当に大丈夫ですか?

警備は業務の主体が体を使うことなので、ITとの直結は少ないです。ただし現場によっては報告書入力や連絡ツールの使用があります。マンション管理員は給与明細のウェブ確認など、最低限の操作が必要な場合があります。「まったくPCを触ったことがない」という方は、事前に職場の実態を確認することをおすすめします。

「PCが苦手」と面接で言ったら、採用に不利ですか?

正直に言う分には、大きな不利にはなりません。問題は「苦手です」で話が終わる場合です。「苦手ですが、今こんな練習をしています」「マウス操作と文字入力は問題ありません」のように、できることと取り組みを合わせて伝えると印象が変わります。嘘をついて「できます」と言い、入社後に実態が発覚するほうが本人にとっても職場にとっても良くない結果になります。

パソコンをどの程度使えれば就職に有利ですか?

職種によって異なりますが、「電源を入れてマウスを動かせる」「ゆっくりでいいので文字を入力できる」このレベルから対応できる仕事は多いです。タイピングのスピードや複雑な操作は必要ありません。シニア採用に力を入れている職場では、簡単なタッチ操作だけで使えるシステムを導入しているケースも増えています。まず地域のPC講座などで「触れる」感覚を得ることが第一歩です。

スマホは使えますが、パソコンは触ったことがありません。仕事を探せますか?

十分に仕事を探せます。警備・清掃・軽作業の多くはスマホが使える程度で応募できます。スマホが使えるということは、「画面を見てタップする」「写真を撮る」という基本操作ができているということ。採用担当から見ると、「完全なIT拒否」ではないという点で評価されます。パソコンについては、使う職種に応募するときに「今練習中です」と一言添えられると印象が上がります。

70代でもIT苦手で仕事を見つけられますか?

はい、見つけられます。警備・清掃・軽作業・配達補助など、年齢とITスキルの両方でハードルが低めの仕事は存在します。ただし70代になるほど「体力面との兼ね合い」が大きくなるため、自分の体力と照らし合わせた職種選びが重要です。「ITが苦手」と「70代」が重なっても採用されている方は実際にいます。姿勢と体調管理が最大の武器になります。

まとめ:IT苦手は「理由」ではなく「状況」として伝える

この記事のまとめ

  • 「IT苦手」は採用担当にとって致命的な問題ではない。問題は「苦手なのに何もしていない」という姿勢
  • 体を使う仕事(警備・清掃・軽作業)はITとの直結が少なく、IT苦手な方に向いている
  • 事務・内勤系はDXが進んでいる職場が多く、「内勤だからIT不要」という思い込みは危険
  • 「食わず嫌い」でPCを避け続けると選択肢が狭まり、社会との距離が広がる
  • まず「触れる場所」(地域のPC講座・ハローワークのセミナー)に行くだけで世界が変わる

IT苦手は「できない理由」にするのではなく、「今の自分の状況」として伝えましょう。そのうえで「こんなことをしています」という小さな行動があれば、採用担当の印象は大きく変わります。

向いている仕事を探しながら、同時にITとの距離を少しずつ縮める。その両輪で動くことが、60代・70代の就活を成功させる最短ルートだと思っています。

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参考データ

  • 総務省「令和5年版 情報通信白書」インターネット利用率(60代:85.2%、70代:59.5%)— 総務省(2023年)

著者:ぐっさん|シニア採用責任者

EDITOR IN CHIEF

シニア採用責任者として複数職種の採用・採用説明会を管轄。年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた。採用単価60%削減・年間140名採用・離職率38%→18%改善の実績。上場企業の採用戦略に貢献~現役責任者。

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