「70代でも採用してもらえるのか」「何歳まで続けられるのか」——マンション管理人への転職を考えるシニアから、この質問を最もよく受けます。求人票に「年齢不問」と書いてあっても、実際のところがわからないと応募に踏み切れない方も多いです。
この記事では、採用担当の立場から年齢制限の実態・雇用の上限年齢・採用で実際に重視していることを正直にお伝えします。年齢を理由に諦める前に読んでほしい内容です。
◯ この記事の結論
- 60代・70代は管理員として珍しくない年齢層です。むしろ業界の中心的な担い手になっています
- 企業によっては雇い入れ上限74歳、延長雇用で最長80歳まで働ける設計があります
- 採用担当が見ているのは年齢ではなく「健康状態を正直に話せるか」と「自己管理力」の2点です
結論:60代・70代でも、マンション管理人は十分に採用される
結論からお伝えします。マンション管理人は、60代・70代でも十分に採用される仕事です。実際の現場では、定年後の方が再就職先として選ぶケースが多く、70代で現役の方も珍しくありません。
ただし「何歳でも絶対に採用される」わけではありません。年齢より重視される判断基準が別にあります。それを知らずに「年齢が高いから難しい」と諦めてしまうのは、もったいないことです。
「年齢不問」「シニア歓迎」の本当の意味
求人票でよく見る「年齢不問」「シニア歓迎」という表記。これは言葉通りの意味ですが、少し補足が必要です。
「年齢不問」は「何歳でも採用する」という意味ではありません。「年齢を主な判断基準にしない」という意味です。その代わりに見ているのが、後述する健康状態と業務適性の2点です。企業によっては雇い入れの上限年齢を定めているケースもあります。これは体力面の業務要件と照らし合わせた企業ごとの設計であり、法律で禁止されているわけではありません。企業内の定年規定は求人票には記載できないため、気になる場合は説明会や面接で直接確認することをお勧めします。
「シニア歓迎」については、マンション管理業界が構造的にシニア人材を必要としているという背景があります。住民と同世代の管理員のほうが信頼感が生まれやすいという現場の実感もあります。60代・70代の採用に積極的な企業が多いのが実態です。
実際の雇用年齢——公的データと企業の設計
データで見るマンション管理員の年齢
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag(日本版O-NET)」によると、マンション管理員の平均年齢は54.3歳です。ただしこれは全年齢を含めた平均で、現場の実感としては定年後の60代・70代が主力を担っています。再就職先として選ぶ方が多く、60代で応募することはまったく珍しくありません。
業界がシニアを必要としている状況は、データにもはっきり表れています。一般社団法人マンション管理業協会の「マンション管理業高齢者活躍に向けたガイドライン」では、60歳以上の従業員について「不足する見込み」と回答した企業が約6割にのぼっています。とくに管理員や修繕技術を持つ人材の不足感が強いという結果が出ており、シニアの担い手が業界から強く求められていることがわかります。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「マンション管理員」https://shigoto.mhlw.go.jp/ / 一般社団法人マンション管理業協会「マンション管理業高齢者活躍に向けたガイドライン」https://www.kanrikyo.or.jp/
こうした業界固有の事情は、社会全体の動向とも一致しています。総務省「労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は930万人(2024年)で、2004年以降21年連続の増加を記録しました。65〜69歳の就業率は53.6%に達しており、この年代の半数以上が働いています。マンション管理業界は、その傾向をもっとも早くから取り入れてきた業種のひとつです。
出典:総務省統計局「統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者(2025年)」https://www.stat.go.jp/data/topics/
企業が設定する雇用年齢の設計
企業によって雇用年齢の設計はさまざまです。一例として以下のような設計を持つ企業があります。
◯ 雇用年齢設計の一例(採用担当の現場より)
雇い入れ上限:74歳まで
新たに採用する場合の年齢上限です。74歳であれば新規採用の対象になります。
有期雇用の定年:75歳
75歳を迎えた時点で一度雇用契約が終了する設計です。
延長雇用:最長80歳まで可能
75歳の定年後も、健康状態・業務適性を条件に最長80歳まで継続雇用できます。
図:雇用年齢の設計例——企業により異なる。中小企業は定年の定めなしのケースも増加中
これはあくまで一企業の例ですが、同様の傾向を持つ企業は増えています。特に中小の管理会社は、大手企業より規定の改定がスピーディーです。定年の定めをなくしている企業も出てきています。さらに、業務委託(個人事業主としての契約)という形であれば、雇用ではないため年齢の上限自体が設けられていないこともあります。「年齢不問」が本当の意味で実践されている職場は、こうした中小企業や業務委託の現場に多く見つかります。
業界全体の傾向として、高年齢者雇用安定法により65歳までの雇用確保が企業に義務付けられています(2021年改正により70歳までの就業機会確保も努力義務化されました)。法的な追い風もあり、マンション管理業界のシニア雇用環境は今後さらに広がっていく方向にあります。
出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の解説」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/
年収・時給はどのくらいか——年齢で変わるのか
年齢の話と合わせて、収入面が気になる方も多いはずです。結論から言うと、マンション管理人の収入は年齢によって大きく変わるものではありません。雇用形態によって決まります。
多くのシニアが選ぶパートタイムでは、時給900〜1,050円前後が中心です。これを年金の補完として考える設計が現実的です。なぜこの水準なのか、高時給求人に何が隠れているのか、住み込みの実質給与をどう計算するかについては、「シニアのマンション管理人 完全ガイド」の給与セクションで詳しく解説しています。
採用担当が年齢より重視する「2つの基準」
基準1:健康状態と体力——正直に話せるかどうか
マンション管理人の業務には、清掃・点検・住民対応・緊急時の初動対応が含まれます。夏の屋外清掃や冬の落ち葉処理など、体を使う業務も一定あります。そのため、採用担当は体力面・健康面を必ず確認します。
ここで重要なのは「健康であること」よりも「正直に話せること」です。持病や通院状況をうやむやにして入社すると、入社後に業務との不一致が起きて双方が困ります。「週1回の通院がありますが、シフト調整は可能です」と正直に伝えられる方のほうが、信頼できる人材として評価されます。
基準2:業務適性——自己管理・几帳面さ・住民対応力
年齢より重視されるもう一つの基準が業務適性です。採用担当が特に見ているのは以下の3点です。
◯ 採用担当が業務適性として見ている3点
- 自己管理力——シフトを守り続けられるか。体調管理を自分で行えるか
- 几帳面さ——点検記録・日報・清掃作業を丁寧に続けられるか
- 住民とのコミュニケーション——クレーム対応・日常の挨拶を穏やかに行えるか
これらは年齢に関係なく、60代でも70代でも発揮できる資質です。逆に言えば、50代でもこの適性が見えない場合は採用が難しくなります。「何歳だから有利・不利」という評価軸より、「この人は業務を続けられるか」という評価軸で見ています。
なお、資格は必須ではありません。マンション管理士や管理業務主任者などの資格があれば歓迎されますが、未経験でも採用される方は数多くいます。採用担当が見ているのは経験や資格ではなく、几帳面さと自己管理力、そして謙虚に学べる姿勢です。
70代・80代でも続けている人の共通点
業界では70代・80代の現役管理員も実際に存在します。業務委託型の企業では80代の現役管理員という事例もあります。こうした方々に共通しているのは、年齢より生活習慣と仕事への姿勢です。
続けにくくなるパターンと、物件との相性
年齢に関わらず続けにくくなるケースがあります。健康状態の急激な変化。体力を大きく超える業務が続く物件への配属。孤独感からくるモチベーションの低下。これらは年齢ではなく、本人の状況や物件との相性によるものです。
特に注意が必要なのは「物件選び」です。採用担当として見てきた中で、コールセンターや接客業からマンション管理に転職して「思ったより孤独だった」と感じる方がいます。一人で動き、人と話す時間が大幅に減ります。施設内で誰とも会話しないまま1日が終わることもあります。この変化に適応できるかどうかが、続けられるかどうかの分かれ目になります。
また、物件によっては夏の屋外作業が想像以上に過酷なケースがあります。説明会で採用担当者が「たいしたことない」と話していても、それはシニアの体の感覚に立った言葉ではないことが多いです。応募前に業務の実態をしっかり確認することが、長く続けるための最初のステップです。
物件との相性を確認せずに入社した
「屋外作業がどの程度あるか」「エレベーターは使えるか」「1日の会話量はどのくらいか」——これらを入社前に確認せずに来た方が、最初の夏や最初の数ヶ月で想定外のしんどさに直面するケースがあります。物件の業態・階数・作業内容は、必ず応募前に確認してください。聞くこと自体は採用担当の印象を悪くしません。むしろ歓迎されます。

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年齢を面接でどう伝えるか——具体的な言い方
採用担当として多くの応募者と面接してきた中で、「年齢が高いから諦めていた」という方が面接で話してくれることがあります。そういう方が採用されているのを何度も見てきました。
70代でも採用される人がいる一方で、60代でもうまくいかない人もいます。分かれ目は年齢ではありません。仕事の実態を理解した上で「それでもやります」という準備と姿勢があるかどうかです。
面接では、年齢に関して正直に話すことを恐れないでください。年齢を隠すより、年齢と向き合った上で自分の強みを語れる方のほうが信頼されます。
マンション管理業界は今後さらにシニア人材を必要とする構造になっていきます。「もう年齢的に難しいかも」と感じている方ほど、まず一歩踏み出してみてください。採用担当は年齢ではなく、あなたの姿勢を見ています。
マンション管理人という仕事の全体像——仕事内容・向いている人・面接・住み込み・女性の働き方まで知りたい方は「シニアのマンション管理人——選ぶ前に知っておくべき全真実」にまとめています。
応募前に自分で確認しておくべきこと
◯ 応募前の自己確認リスト
- 現在の健康状態・通院状況を把握している——面接で正直に話せる状態にしておく
- 体力的に無理のない業務か確認した——清掃・点検・屋外作業の頻度を求人票や説明会で確認
- シフトに入れない日程がある場合は把握している——介護・通院・持病による欠勤リスクを自分で評価しておく
- 物件の階数・エレベーターの有無を確認した——エレベーター使用不可の物件では体力負荷が大きく変わる
- 「何年続けたいか」を自分の言葉で言える——「できるだけ長く」より「健康が許す限り、最低3年は続けたい」のほうが信頼される
◯ この記事のまとめ
- マンション管理員の平均年齢は54.3歳(厚労省jobtag)だが、現場の主力は定年後の60代・70代。70代の現役管理員も珍しくない。
- 企業によっては雇い入れ上限74歳・有期定年75歳・延長雇用最長80歳という設計を持つ。中小企業や業務委託では年齢の上限がないケースも。
- 収入は年齢ではなく雇用形態で決まる。パートタイムでは時給900〜1,050円前後が中心で、年金との組み合わせが現実的。
- 採用担当が実際に重視するのは「健康状態と体力を正直に話せるか」と「自己管理力・几帳面さ・住民対応力」の2点。資格は必須ではない。
- 続けにくくなる原因は年齢ではなく、物件との相性・孤独感・体力と業務のミスマッチが多い。応募前の確認が最大の予防策。
- 面接では年齢・健康状態・強みの3点をシンプルに伝える。年齢を隠すより向き合って語れる人が信頼される。

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よくある質問
70歳で応募しても、書類選考で落とされませんか?
企業によって雇い入れ上限の設定は異なりますが、70歳での応募を受け付けている企業は多くあります。「年齢不問」と明記している求人は、原則として70歳でも書類選考の対象です。気になる求人があれば、事前に電話で確認してみることをお勧めします。「70歳ですが応募できますか」とシンプルに聞いてみると、担当者から正直な回答が得られます。
75歳を超えてから採用される可能性はありますか?
新規採用としては難しい企業が多いですが、在職中に75歳を超えて延長雇用されるケースは増えています。また、定年の定めがない中小企業や業務委託であれば、75歳以上での新規採用事例もゼロではありません。「何歳まで」の回答は企業によって大きく異なるため、気になる求人があれば直接確認することが最も正確な情報になります。
大手と中小企業ではどちらが年齢に柔軟ですか?
中小の管理会社のほうが年齢に関する規定が柔軟なケースが多いです。大手企業は雇用規定が整っている分、年齢や健康面の基準も明確に設けられている傾向があります。一方で中小企業は規定の改定がスピーディーで、定年の定めをなくしている企業も出てきています。「シニア歓迎」を本当に実践しているのは、中小企業の現場に多い印象です。
持病や通院があっても採用されますか?
持病や通院があっても採用される可能性は十分あります。大切なのは隠さずに正直に伝えることです。「週1回水曜は通院がありますが、シフト調整は可能です」と具体的に話せる方は、採用担当として安心して採用できます。後から発覚すると業務計画に支障をきたすため、最初から正直に話してくれる方のほうが信頼されます。
マンション管理人の年収・時給はどのくらいですか?
パートタイムであれば時給900〜1,050円前後、フルタイムの契約社員であれば月収15〜17万円程度が目安です。年齢によって金額が変わるものではなく、雇用形態によって決まります。なぜこの水準なのか、住み込みの実質給与の計算方法、高時給求人の注意点については「シニアのマンション管理人 完全ガイド」で詳しく解説しています。
未経験・資格なしでも採用されますか?
未経験・資格なしでも採用されます。マンション管理士や管理業務主任者などの資格があれば歓迎されますが、必須条件ではありません。採用担当が見ているのは経験や資格ではなく、几帳面さ・自己管理力・謙虚に学べる姿勢の3点です。これは年齢が60代でも70代でも変わりません。
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