マンション管理で老け込む人がいる本当の理由

マンション管理で老け込む人がいる本当の理由——売上人件費と管理コスト人件費の違いを採用担当が解説 仕事ラボ

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ぐっさん|シニア採用責任者

  • シニア採用責任者として複数職種・複数センターの採用を管轄
  • 採用単価60%削減・年間140名採用実績
  • 上場企業の採用戦略に貢献(2024年)

「マンション管理に転職してから、なんか老けた気がする」——そう感じている方はいませんか。それは気のせいではないかもしれません。

私はシニアの採用担当として、マンション管理を辞めてコールセンターに転職してきた方を複数名採用してきました。そのなかで気づいたことがあります。「老け込む仕事」と「老けない仕事」には、構造的な違いがある。それは仕事の良し悪しではなく、「人件費の種類」の違いです。この記事では、採用担当として現場で見てきた実例と、その構造を正直にお伝えします。

マンション管理に転職してから「老け込んだ」女性の話

以前、コールセンターを辞めてマンション管理に転職したある女性スタッフと、数ヶ月ぶりに街中で偶然会いました。一瞬、別人かと思いました。

小さくなっていたのです。背中が丸まって、歩き方が変わって、表情が内側に向いている。話しかけると笑顔を見せてくれましたが、コールセンターにいたときの「人に向かっていく感じ」がなかった。姿勢だけじゃない。声の張り、目の輝き、そういうものが変わっていました。

「老け込んだ」というより、「ハリがなくなった」という表現のほうが正確かもしれません。

採用担当からひとこと
「見られる意識とか、人と接する時間が減ったからハリがなくなったんじゃないかな。若くて独身の頃は輝いていた女性が、産後そのまま仕事をせずに家庭に入ると『お母さん感』が増すのと同じ。一人になると『お年寄り感』が出るんじゃないかと思う。」
COMMENT マンション管理が悪い仕事だと言いたいのではありません。「人と関わる時間が減ること」が人を変える——その構造的な理由を、この記事で説明します。

マンション管理の仕事そのものが悪いわけではありません。問題は、接客業やコールセンターから転職してきた人が「人と関わる時間」を急に失ってしまうことにある。説明会でどう語られるかについてはマンション管理の説明会では教えてくれない7つのリアルでも詳しく解説しています。

なぜ「人と関わる仕事から離れる」と老け込むのか

人件費には2種類ある——売上人件費と管理コスト人件費

私は採用担当になる前、アパレルからコールセンターのスーパーバイザー(SV)を経て事業責任者まで、ずっと営業・売上側の仕事をしていました。その後、採用を強化して人が増えたことで、自分が間接部門(労務)に移ることになりました。そこで初めて気づいたことがあります。

営業は数字がすべてです。結果が売上として目に見えるからわかりやすく評価されます。でも間接部門は「直接売上を立てていないから評価されない」と言われた。衝撃でした。給料日に給料が振り込まれる。備品が揃っている。これは「何もないのが当たり前」として扱われる。

この構造は、マンション管理にそのまま当てはまります。清掃が完璧に行き届いていても、住人はそれを「当たり前」として受け取ります。エレベーターが正常に動いている、共用部が清潔である——これらは問題が起きたときに初めて「気づかれる」ものです。頑張ったことが評価されない構造。これが長期的に人の意欲に影響します。

採用担当からひとこと
「水道ひねったら水が出るのと一緒。円滑な状態が評価されるべきだけど、世の中の多くの企業はそうはなっていない。そこで気づいた。人件費には2種類ある。直接売上を上げる人件費と、管理コストとしての人件費。」
COMMENT マンション管理は後者です。仕事として優劣があるわけではない。でも「評価のされ方」「感謝の届き方」が構造的に違う。この違いが人に与える影響は、じわじわと、しかし確実に現れます。
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人件費の2種類と老化リスクの違い 売上人件費(老けない)と管理コスト人件費(老け込みリスク)の構造的な違いを縦2枚で比較した図 人件費の2種類と老化リスク ✅ 売上人件費(老けにくい) 結果が数字で出る コールセンター・飲食・営業 感謝が直接・頻繁に届く 毎日「ありがとう」がある 成長・刺激・承認がある 人と関わる時間が多い チームがある 孤独になりにくい構造 ⚠️ 管理コスト人件費(老け込みリスク) 評価=「何もない状態」 マンション管理・清掃・警備 感謝が構造的に届きにくい 一人勤務・会話が少ない
FIG.1 人件費の2種類と老化リスクの違い(仕事の優劣ではなく「感謝の届き方」の構造が違う)

「ありがとう」をもらえる仕事・もらえない仕事

コールセンターや飲食の仕事では、毎日お客様から「ありがとう」と言われます。電話越しでも、レジ越しでも、直接届く。これは仕事のやりがいの根幹にあるものです。

マンション管理は違います。清掃が行き届いていることは「当たり前」として受け取られます。問題が起きたときだけ連絡が来る。「感謝されない」のではなく、「感謝が届く構造になっていない」のです。この差が、じわじわと人に影響を与えます。「誰かの役に立っている実感」が薄れ、「見られる意識」が弱まり、姿勢が変わり、表情が変わる。

コールセンターの仕事をしていると、1日に何十件もの電話を受けます。そのうちのいくつかは、「ありがとうございました。助かりました」という言葉で終わります。この積み重ねが、人の表情を作ります。「自分は誰かの役に立っている」という感覚が、ハリを生む。マンション管理では、この感覚を得るために自分から工夫しなければなりません。構造が違うのです。

マンション管理で老け込む3つのパターン

老け込むパターン

採用担当が見てきた「老け込む3パターン」

パターン①:接客業から転職してきて「無口・内向き」になるタイプ
私が勤務するオフィスビルに、3年ほど在籍した男性管理人がいました。むすっとしていて、ぶっきらぼう。挨拶もほとんどしない。だんだん小さくなっていく感じでした。同じビルにあるコールセンターのスタッフはいつも若々しい。その対比が毎日目に入っていました。

パターン②:仕事を辞めた瞬間に老け込む「環境離脱タイプ」
私の義理の父は、定年後に嘱託職員として仕事を続けていました。辞めたとたんに病気がちになり、外に出なくなった。一気に老け込みました。仕事は、強制的に社会とつながる仕組みでもあります。それがなくなったとき、人は急に小さくなることがある。

パターン③:「住人のせい・環境のせい」にする他責タイプ
「住人に挨拶しても返事がない」「いつも共用部を汚して」——矢印が外を向いている人は、仕事の中に喜びを見つけられません。自分を変えることが最も簡単で最もコストがかからない。でも他責の人には、その選択肢が見えていない。

採用担当からひとこと
「人って写し鏡です。自分がやった通り帰ってきます。挨拶しても返事がなくても、毎日やる。汚れているからこそ、いつもよりきれいにする。子供たちに声をかけて、騒いでいいところとそうじゃないところを教えてあげる。それができる人は、同じマンション管理でも老け込まない。」
COMMENT 老け込むかどうかは、仕事の種類よりも「人との関わりに対してどう向き合うか」で決まる部分が大きい、と現場を見てきて感じています。

同じマンション管理でも「老けない人」の共通点

マンション管理をしていても、まったく老け込まない方もいます。その方たちに共通することは何か——採用担当として現場を見てきた観察です。

一番大きな違いは「人と関わることへの姿勢」です。同じ仕事をしていても、掃除しながら住人や通行人に挨拶する人と、黙々と作業だけする人では、数ヶ月後の表情が違ってきます。挨拶が数日続くと会話になる。会話が続くと関係になる。「あの管理人さん、いつも丁寧に挨拶してくれる」という評判が、じわじわと仕事のやりがいに変わっていきます。

もうひとつ大きいのは「外からの刺激をどう扱うか」です。スマホのショート動画やSNSで時間を埋めている人と、習い事やボランティアで人と関わる時間を作っている人では、老化のスピードが違う。前者は受け身で刺激を受けるだけ。後者は自分が動いて人と関わることで、脳も体も動かし続けています。

◯ 老けない人の5つの共通点

  • 積極的に挨拶をする——住人・通行人・誰に対しても。それが数日続くと会話になる
  • 楽しもうとする——「楽しもう」という意思が、日常に充実感を生む
  • 自責で動く——環境のせいにせず、自分から関係を作ろうとする
  • 外見に気を配る——人と会うから服装・清潔感を意識する。この意識が若々しさをキープする
  • 仕事以外のコミュニティを持つ——ボランティア・習い事・家族との時間など、人と過ごす場を複数持っている
採用担当からひとこと
「楽しむということは、人生にハリを与えて充実感を感じること。YouTubeやショート動画みたいな人工的で質の悪いドーパミンではなく、自分で自分を動かして上質なドーパミンを得る。他責にする人は無理だろう、自責にして自分をアップデートし続ける人はいつまでも若々しい。」
COMMENT 「上質なドーパミン」という言葉が印象的でした。スマホの中の刺激ではなく、自分が動いて人と関わることで生まれる充実感——それがハリを作る。この違いは、積み重なると大きくなります。

「人と関わる仕事を辞める」前に考えてほしいこと

マンション管理を辞めてコールセンターや飲食に転職した方が「若返ったように見えた」というエピソードを、複数経験してきました。表情が変わる。声が変わる。歩き方が変わる。仕事の種類が人を変えるのか、人と関わる時間が人を変えるのか——おそらく両方だと思います。

コールセンターへの転職を選んだ方に共通していたのは「体力的な負荷がない」「チームがある」に加えて、「毎日誰かと話せる」という点を評価していたことです。シニアの方がコールセンターでどう活躍できるかについてはシニア×コールセンター完全ガイドで詳しく解説しています。実際に辞めて転職した方の本音はマンション管理を辞めてコールセンターに転職した人の本音にまとめています。

ただし、これは「マンション管理を辞めるべきだ」という話ではありません。マンション管理でも、人と関わる工夫をすれば老け込まない。問題は仕事の種類ではなく、「人と関わる時間を自分で作れるかどうか」です。マンション管理を始める前に確認したい方は始める前に確認すべき10項目も参考にしてください。

冒頭でお話しした、街中で再会した女性スタッフに話を戻します。彼女はその後どうなったか——実は数ヶ月後に別の仕事に移ったと聞きました。接客の仕事です。その後また偶然会ったとき、表情が戻っていました。声の張りも、歩き方も。「向いている仕事に戻った」というより、「人と関わる場に戻った」という感じでした。

仕事は、人を変えます。良い方にも、悪い方にも。どんな仕事を選ぶかは、どんな自分でいたいかを選ぶことでもあります。

まとめ——仕事が人を作る、という話

人と関わることは人生において大事なこと——きれいごとに聞こえるかもしれませんが、これは真理だと私は思っています。

仕事以外のコミュニティや、ボランティア、習い事、家族。人と同じ時間を過ごせる方は大丈夫です。でもそれが苦手な方にとって、仕事は「強制的に人と関われる場」です。その価値を、辞める前に一度考えてほしいのです。

私の祖父のことを、最後に話させてください。

友人はほぼおらず、自宅にいることが多く、年老いてからは畑にもあまり行かなくなった。体力だけは自信があった祖父が、最後は弱々しくなっていきました。病室で声がか細くなり、弱っていく。最後は自力で歩けず、大好きな食べることもほとんどできなくなった。

夏に体調を崩して、次の冬までの間に——たったそれだけの時間に。

人との関わりは、生きる意志を与えてくれます。

仕事を辞める、その判断を否定はしません。でも最後に一度、考えてみてください。お金以外に仕事から得ているもの——人とのつながり、感謝される機会、社会とつながっている感覚——それらを失ったとき、自分の生活に何が残るか。マンション管理が向いている人には、本当に良い仕事です。向いていないと感じたなら、それも正直な気づきです。どちらにしても——人と関わる時間を、意識的に作り続けてほしいと思います。

◯ この記事のまとめ

  • 「マンション管理が悪い」のではない。「人と関わる仕事から離れること」が老化を加速させる
  • 人件費には2種類ある。売上人件費(感謝が届く)と管理コスト人件費(感謝が構造的に届きにくい)。マンション管理は後者の構造
  • 「水道ひねったら水が出るのと一緒」——円滑な状態が当たり前として扱われる仕事では、じわじわと人が変わっていく
  • 老け込む3パターン:無口・内向きタイプ/仕事を辞めた瞬間のタイプ/他責にするタイプ
  • 同じマンション管理でも老けない人がいる。積極的な挨拶・楽しもうとする姿勢・自責の思考が共通点
  • 仕事は「強制的に人と関われる場」でもある。その価値を、辞める前に一度考えてほしい

「人と関わる仕事」をもう一度考えてみたい方へ

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著者:ぐっさん|シニア採用責任者

EDITOR IN CHIEF

アパレル副店長を経て通販支援事業会社へ転職。コールセンターSVからキャリアをスタートし、採用責任者として複数センターの採用を管轄。採用単価60%削減・年間140名採用・離職率38%から18%改善の実績。上場企業の採用戦略に貢献(2024年)。介護・マンション管理・警備など複数の職種の説明会に定期的に参加し、年間1,000名以上のシニア求職者と向き合ってきた。

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